完訳 7つの習慣-人格の回復-45
第6の習慣
シナジーを創り出す SYNERGIZE
創造的協力の原則
私は、聖人の願いを己の指針としたい。
危機的な問題においては結束を、
重要な問題においては多様性を、
あらゆる問題においては寛容を。
—大統領就任演説 ジョージ・H・W・ブッシュ
どんなに困難な試練に直面しても、人間だけに授けられた四つの能力(自覚・想像・良心・意思)、
Win-Winの精神、共感の傾聴のスキル、これらを総動員すれば、最高のシナジーを
創り出すことができる。
シナジーは、原則中心のリーダーシップの神髄である。
原則中心の子育ての神髄である。人間の内面にある最高の力を引き出し、一つにまとめ、解き放つ。
シナジーとは、簡単に言えば、全体の合計は個々の部分の総和よりも大きくなるということである。
人に力を与え、人々の力を一つにまとめるうえで、もっとも重要な働きをするのである。
シナジーの本質は、お互いの違いを認め、尊重し、自分の強みを伸ばし、
弱いところを補うことである。
シナジーを創り出すコミュニケーション
他者とのコミュニケーションが相乗効果的に展開すると、頭と心が開放されて新しい可能性や
選択肢を受け入れ、自分のほうから新しい自由な発想が出てくるようになる。
それは第2の習慣(終わりを思い描くことから始める)に反するのではないかと思うかもしれないが、
実際にはその正反対であり、第2の習慣を実践していることに他ならない。
たしかに、シナジーを創り出すコミュニケーションのプロセスでは、先行きがどうなるか、
最後がどのようなものになるのかわからない。
しかし内面に意欲がみなぎり、心が安定し、冒険心が満ちてきて、前に考えていたことよりも
はるかに良い結果になると信じることができるのだ。
それこそが最初に描く「終わり」なのである。
教室でのシナジー
シナジーとは、グループの全員が古い脚本を捨て、新しい脚本を書き始めることだと言ってもいい。
カール・ロジャース(訳注:米国の心理学者)は「もっとも個人的なことはもっとも一般的なことである」と
教えている。
自分の本当の姿を見せ、自信を失った経験も含めて自分のことを素直に話すほど、
それを聴いている人たちは、自分の経験を正直に話しても大丈夫なのだという気持ちになると
あなたの正直さが相手の精神を養い、そこに真の創造的な共感が生まれ、
新たな洞察や学びがもちらされる。
こうして次第に気持ちが高揚していき、冒険心が刺激されて、コミュニケーションのプロセスは
シナジーへと向かっていく。
ビジネスでのシナジー
シナジーのプロセスがミッション・ステートメントとなって実を結び、その場にいた者たちの心と
頭にその一言一句がくっきりと刻まれた。
このミッション・ステートメントは、私たちが仕事を進めるうえでの基準となり、どうあるべきか。
どうあるべきでないかを明確に示し道標となったのである。
東洋に「師を真似ることを求めず、師の求めるものを求めよ」という至言がある。
これにならえば、過去のシナジー体験を真似るのではなく、それとは異なる目的、
より高い目的を達成するための新しいシナジーを求めることができるのである。
この続きは、次回に。