会計は「ザックリ」のほうがよくわかる! ⑥
⚪️ 三種の神器で会社をイメージする
ここからは、ザックリ把握力の三種の神器
「パーセンテージ(%)」、「数字のモノサシ」、「一人(ひとり)前」の出番です。
まず、「%」は、前述した増減分析の際にたいへん重宝します。
増減を金額だけで見ていても、他の増減との相関関係を見つけることは難しいことがあります。
増減率を「%」で表示してみると、「売上の増え方に比べて利益の増え方が大きい」だとか
「売上は増えたけれど販管費はもっと増えている」ということが簡単にわかります。
また、「%」を構成比として利用すると、全体の構造をザックリとつかむことができます。
例えば、過去3年分の損益計算書を各年度の売上高を100%とした構成比で比べてみると、
収益構造の微妙な変化などが読み取れると思います。
同じように、貸借対照表についても総資産を100%として構成比を計算して比較してみると、
資産と負債のバランスや内容の変化などを把握することができると思います。
さらに、同業他社の損益計算書と貸借対照表を構成比率も含めて見ていくと、それぞれの
会社のビジネスや財務上の特徴や違いが金額だけで見ているよりもハッキリとわかると思います。
次に、「数字のモノサシ」ですが、数字をパッと見た時に感じる数字の大きさのイメージを
作るのに役立ちます。
千円と聞いてランチ1回分、百万円と聞いて軽自動車1台分、1千万円と聞いて世界一周の
豪華な船旅1人分、1億円と聞いて都心のタワーマンション1戸分、こう考えると数字の
大きさを何となくイメージしやすくなります。
例えば海外に行って買い物をする時に、慣れない現地通貨でいくらと言われても、
高いのか安いのかすぐにはピンと来ないことがあると思います。
それは、自分流の「数字のモノサシ」が働いていない状態だからです。
特に多くの数字が並んでいる決算書をざっと理解したい時に、この「数字のモノサシ」を
使って数字の大きさがイメージできると、とても便利だと思います。
最後の「一人(ひとり)ですが、例えばある大企業の売上が2兆円、粗利益が1兆円、
販管費が8千億円といった場合には、あまりに数字が大きく、「数字のモノサシ」を
使っても正直イメージしにくいと思います。
そこで、大きな数字を人数で割って、一人前の数字に落とし込んでみるとかなり
わかりやすくなります。
この売上2兆円の企業の従業員の人数を仮に40千人だとすると、一人当たりの売上は
50百万円ということになり、これなら「数字のモノサシ」で測れる範囲の数字です。
さらに、粗利益は一人当たり25百万円、一人当たりの販管費は20百万円なので一人当たりの
営業利益は5百万円と、この企業の収益構造がかなり身近な数字でイメージできるようになります。
こうして「一人前」で決算書を考えることで、経営の効率性をイメージしたり同業他社と
比較したりするのが容易になると思いますので、ぜひ試してみてください。
この続きは、次回に。