まんがで見につく 孫子の兵法 ④
第5話 売るべきなのは「お米」じゃなかった?
〜千里なるも戦うべし〜
力を持たない者が勝つためには、「戦わないこと」が重要。
第5話では、小さな会社が生き残るための方法を学びます。
会長の急逝に、動揺が走るオクダ食糧。
そんななか、舞は会長の教え「マイナスをプラスに転じる」を信じ、
オクダ食糧の将来を賭けた勝負に出る——。
「卒を視ること嬰児の如し。故に之と深谿にも赴く可し。
卒を視ること愛子の如し。故に之と倶に死す可し。」
訳—-
将軍が兵士に注ぐ眼差しは、赤ん坊に対するように慈愛に満ちているものである。
だからこそ、いざという時に、兵士を危険な深い谷底へでも率いていくことができるのである。
また、将軍が兵士に注ぐ眼差しは、わが子に対するもののようである。
だからこそ、兵士は将軍とともに死ぬ覚悟で戦いに臨むことができるのである。
「之を住く所無きに投ずれば、諸・劌の勇なり。」
訳—
兵士たちを逃げ場のない窮地に投入すれば、皆が(勇者として有名な)専諸や曹劌のように
勇敢に戦うのだ。
「主は怒りを以て師を興す可からず。
将は慍を以て戦いてを致す可からず。」
訳—-
君主は、一時の感情的な怒りによって戦争を起こしてはならない。
将軍は、激怒に任せて戦闘に突入してはならない。
「兵は拙速を聞くも、未だに巧久なるを睹ざるなり。」
訳—-
戦争には、多少拙い点がありつつも速やかに事を進めたい結果の成功事例はあるが、
完璧を期して長引かせてしまった結果の成功事例はない。
「孫子曰く、兵は国の大事なり。
死生の地、存亡の道、察せざる可からざるなり。」
訳—-
戦争は、国家にとって重要な問題であり、避けて通ることはできない。
国民にとっては、生きるか死ぬかが決まるところであり、国家にとっては、
存続するか、滅亡させられるかの分かれ道である。
徹底して研究すべきことであって、決して軽んじてはならない。
「未だ戦わずして廟算するに、勝つ者は算を得ること多きなり。
未だ戦わずして廟算するに、勝たざる者は算を得ること少なきなり。
算多きは勝ち、算少なきは勝たず。況んや算無きに於いてをや。」
訳—
まだ開戦していないうちに作戦を立て、
廟堂(※先祖の霊を祀るところ)で策を練ってみた時に、
勝利を確信できるのは、机上の思索や勝算が相手よりも多いからである。
まだ戦闘が始まっていない時に、廟堂で作戦を立案して、
勝ちを確信できないのは、勝算が少ないからである。
勝算が相手よりも多ければ、実戦でも勝利するし、
勝算が相手よりも少なければ、実戦でも敗北する。
ましてや勝算が1つもないという状態では、勝てるわけがない。
「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、
敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む。」
訳—-
勝利を収める軍は、まず勝利を確信してから、
その勝利を実現しようと戦闘に入るが、敗北する軍は、
戦闘を開始してしまってから、その後で勝利を追い求めるのである。
「始めは処女の如くにして、敵人、戸を開くや、後は脱兎の如くす。
敵、拒ぐに及ばず」
訳—-
初めは乙女のようにおとなしく慎重にしておいて、
敵が油断して隙を見せたら、逃げ去るうさぎのように機敏に動け。
そうすれば敵は防ぎようがないのだ。
「勝者の民を戦わしむるや、
積水を千仭の谿に決するが若き者は、形なり。」
訳—-
戦いに勝利する者は、人民を戦闘させるにあたり、
満々とたたえた水を不快谷底へ一気に決壊させるような勢いを作り出す。
これこそが勝利に至る態勢(形)であ。
「戦いの地を知り、戦いの日を知らば、千里なるも戦うべし」
訳—-
もし戦闘地点もわかっており、戦闘開始の時期(日時)もわかっていれば、
仮に千里(※一里=約500mなので、約500km。途方もなく遠いことを表す)離れた遠方であっても、
主導権を持って戦うことができる。
この続きは、次回に。