まんがで見につく 孫子の兵法 ⑨
「スピード対応、傾聴、火のように勢い提案、揺るがない信念」
其の疾きこと風の如く、其の徐なること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如く、
知り難きこと陰の如く、動くこと雷震の如し。(軍争篇)
※ 解説は省略致します。是非、購読してください。
「全員が心を一つにして動くには、目指すビジョンが必要」
軍政に曰く、言うも相い聞こえず、故に金鼓を為る。
視すも相い見えず、故に旌旗を為る。是の故に昼戦に旌旗多く、夜戦に金鼓多し。
夫れ、金鼓・せい旗は人の耳目を一にする所以なり。人既に専一なれば、則ち勇者も独り
進むことを得ず。怯者も独り退くことを得ず。此れ衆を用うるの法なり。(軍争篇)
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「持てる力を最大限発揮するには、勢いとタイミングが重要」
激水の疾くして、石を漂わすに至る者は、勢なり。
鷙鳥の撃ちて毀節に至る者は、節なり。
是の故に善く戦う者は、其の勢は険にして、其の節は短なり。
勢は弩を張るが如く、節は機を発するが如し。(勢篇)
※ 解説は省略致します。是非、購読してください。
あとがき
私は、経営コンサルタントであり、孫子の兵法をいかに現代の企業経営や仕事に応用するかを
考える孫子兵法家です。
特に、古典を敬遠しがちな若い人にもっと孫子を知ってもらいたいと考えていましたので、
あさ出版の古川有衣子さんから「孫子をまんがにしませんか?」とお話があった時は、
ふたつ返事で承諾しました。
学校の古典の授業のように2500年も前の話を単に訳すのではなく、時代を超えて伝わる知恵を
抽出し、現代の実践に応用しないと意味がないと思うのです。
私のような「兵法家」の出番があるのは、そのように考える人が少なくないためでしょう。
だからこそ、誰もがとっつきやすいまんがのストーリーで孫子を紹介することに価値があると
考えたのです。
実際、日本マンガ塾の大泉佑一さんのアドバイスと、久米礼華さんの素敵な絵で、孫子の兵法を
具体的に応用するイメージが、より伝わるようになったのではないでしょうか。
私は、古典の研究者でもなければ、中国語の専門家でもありませんが、20代から経営
コンサルタントをしていましたので、年長の人を説得するネタとして孫子を勉強してきました。
「若造がえらそうなことを」と批判されないために、「孫子がこう言っていますよ」と
孫子のせいにして年長者に物申したわけです。
すると、「孫子がいうなら」と多くの経営者が納得し、受け入れてくれました。
若い人にこそ、孫子の兵法です。
このまんがで孫子に触れ、興味を持ってくれる若い人が増えるといいなと思います。
古典好き、孫子ファンの方は、まんがをあまり好まれないかもしれませんし、孫子の原文を読むべきだと
お思うかもしれませんが、孫子兵法の応用事例として、参考にしていただければ幸いです。
今、日本は、人口減少という構造的な問題に直面し、企業経営も格段に難しくなってきています。
マーケットが拡大していた時は、同業者の後追い、他社のモノマネでも生き残れました。
全体のパイが拡がっていましたから、引き分けに持ち込めば、一緒に成長・拡大できたわけです。
しかし、マーケット縮小時代には、勝たなければなりません。
「引き分けでいい」なんて思っていたら、ジリ貧になって最後は消え去るだけ。
そう考えると、まさにビジネスも戦争と言えます。
命までは取られませんが、負ければ企業は倒産し、個人のキャリアも傷付きます。
だからこそ、命がけの戦争を扱った兵法を勧めるのです。
なかでも、最高の兵法書と言われる孫子を、今こそ学んで欲しいと思います。
時代を超えて、洋の東西を問わず、評価され続けている孫子の知恵を、どうぞあなたの人生や
仕事、組織運営、企業経営に活かしてください。
2014年11月 孫子兵法家・長尾一洋
この続きは、次回に。