成功の要諦 -12
一所懸命働くことが心を磨く最高の方法
一所懸命に働くことによってしか心を磨くことはできない。
私はそう思っています。
一芸に秀でた人、たとえば、仕事に一途に打ち込んできて、素晴らしい棟梁だといわれている大工は、
テレビの対談などで話をされているのを見ても、本当に素晴らしい人間性を持っていることがわかります。
スポーツ界でも、ひたむきに努力を続け、精進を重ねた選手は素晴らしい人間性をみっています。
一心不乱に仕事に打ち込むことで、そういう人たちは素晴らしい人格を形成していったのです。
苦労によって人間は成長する
昔から「若いときの難儀は買ってでもしなさい」と言います。
年齢を重ねた人なら、親からいやというほど聞かされた言葉です。
若いときの難儀は買ってでもしなさいという言葉は真理だと思います。
人間をつくるのに、これ以上の方法はありません。
現在の豊かな社会では、我々も子どもに難儀をさせることなく、贅沢に育ててしまっています。
豊かな中では、子どもになかなか苦労を積ませることはできません。
しかし、苦労をさせられない今だからこそ、人間をつくるのには苦労が一番大切だということを教え、
理性に植えつけなければなりません。
現在は、苦労を積んでいないために、子供がちょっとしたことできれて、暴力を振るうように
なってしまっています。
このように、苦労を積むということは、人間をつくる上で大変大事なことなのです。
六波羅密の四つ目は「忍辱」です。人生の中でさまざまな現象に遭遇します。
苦労や難儀はたくさんありますが、耐え忍ぶ、辛抱することが心を高めていくのです。
五つ目は「禅定」です。
我々はいつも騒がしい日常を送っています。
静寂のなかで仕事ができることは滅多にありません。
周囲も騒がしいと、それにつれて自分の心の中も騒がしくなっていきます。
だからせめて一日一回は、心を静め、静かに座禅をする。これが禅定です。
布施、持戒、精進、忍辱、禅定、この五つのことをしていくと、六つ目に宇宙の「智慧」に至ることが
できます。これらが六波羅密の修行です。
このような修行をすることによって心を高め、智慧を得るのが悟りに近づく道です。
今申し上げた五つのことを心がけていけば、人間性が必ず高まります。
人間が練られていきます。
人生の目的をはっきり理性に刻みつける
人生の目的は心を高めることです。有名になったり、金持ちになったりすることが人生の目的では
ありません。心が高められれば、物事がよく見え、どういう生き方をすればいいのかがわかります。
その結果として、有名にもなるでしょう。財産もできるでしょう。
しかし、心が高まり人間ができていれば、そのことで傲慢になったり、横柄になったりすることは
ありません。それでいいのです。
何となく知っている、うっすらと覚えているといったことではだめです。
当たり前のことだとわかったつもりになり、そのままにしておいてはだめです。
人間はともすれば惰性に流される動物ですから、理性にインプットし、ときに思い出して
反芻することが、大変大事です。
人生の目的は心を高めることである。この一つのことだけでも、しっかりと理性に刻みつけて
いただきたいと思います。
この続きは、次回に。