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認知症にならないための 決定的予防法㉑

ホルモンの交響楽団のバランスを保つ

 

本書を通じて、老化とともに生理的な変化とホルモンの変化を知っていただき、

4ステップのプログラムがこれらのホルモンのバランスをいかに保ち、アルツハイマー病に

なるのをいかに防ぐのかご理解いただくために、私はときおり<ホルモンの交響楽団>と

いう表現を使います。

 

私たちの体にも交響楽団—ホルモンの交響楽団—があり、そこにもホルモン、神経伝達質、

それにホルモンと連動して動く神経系が含まれます。

体のホルモンの交響楽団では、指揮者はインスリンということにしておきましょう。

インスリン値のバランスが保たれていれば、心身ともに調和し、健康であることは

多くの人が理解しています。

 

神経系

 

迷走神経系と交感神経系は、自律神経と呼ばれるものの一部で、これは単に意識的に

管理されていない神経系だということを意味しています。

神経系はセロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンなどさまざまな

神経伝達物質を通じて、ニューロンや体の隅々にメッセージを伝えます。

迷走神経系は一般に人の動きを遅くし、脈搏や血圧を下げる働きをします。

交感神経系は人を活発にさせ、<闘争か逃走>に備えさせます。

 

同化ホルモンと異化ホルモン

 

体のなかでは、同化ホルモン(ヒト成長ホルモン、テストステロン、エストロゲン、

甲状腺ホルモン)と神経伝達物質のドーパミンとセロトニンが迷走神経系とともに、

オーケストラの弦楽器とピアノの役目をはたしています。

オーケストラの別のパートには、異化ホルモン、すなわちコルチゾールとアルドステロンがあり、

打楽器と管楽器を代表しています。

これらのホルモンは神経伝達物質のアドレナリンとノルアドレナリン、それに交感神経系に

関連しています[代謝において、異化は外部からの物質を分解してエネルギーを得る過程を、

同化はこのエネルギーを使って体内でタンパク質などを合成する過程を指す。同化ホルモン、

異化ホルモンはそれぞれ、タンパク同化ホルモン、タンパク異化ホルモンとも呼ばれる]

同化ホルモン(バイオリンやチェロ)が体に及ぼす影響は、除脂肪体重を増し、筋肉を増強し、

脂肪を減らすことです。脳のなかでは、同化ホルモンは抗酸化物質として働き、

フリーラジカルを一掃し(体の防衛システムの一環)、免疫システムを強化し、

サイトカイン(炎症促進性のマーカー)の放出を減らし、ドーパミンとセロトニンによって耐久力、

前向きな気持ち、それに穏やかな気分と自制心を高めます。

運動のあと、迷走神経系が刺激されると、体はくつろぎモードに入ります。

そうなると、心臓の鼓動は遅くなり、皮膚は温かく感じ赤みが差し、瞳孔は縮小し、

筋肉の緊張は和らぎます。

これらはいずれも、座禅を組んだ時の身体的兆候、つまり穏やかで満足し、

自然とつながっている感覚なのです。

一方、異化ホルモンがアドレナリンとノルアドレナリンとともに副腎から分泌されると、

脂肪の生成が増え、血糖値も増し、除脂肪体重は減って、インスリンが増します。

ホルモン交響楽団の指揮者であるインスリンは、なんとかこうした異化反応を制御しようと試み、

体からグルコースを排除し、それを脂肪に変えてたくわえようと必死になって長時間働くため、

インスリン値が増していきます。食べたばかりのものからグルコースが得られないときは、

コルチゾールがタンパク質を分解してグルコースに変えるので、その過程できわめて必要な

除脂肪体重を減らすことになります。

グルコースが余分に生成されれば、インスリン(指揮者です)がそれを脂肪(LDLつまり

悪玉コレステロール)に変えてたくわえることで、体から排除します。

切迫した脅威が長時間つづいた場合には、副腎でストレスホルモンのコルチゾールが生成され、

体が長いこと緊急事態に対応できるようになります。

 

そうなると、体はどう反応するのでしょうか?

心搏数、心搏出量が増し、瞳孔が散大します。筋肉は緊張し、すぐに頭痛、筋肉痛、

および強い筋肉痛をともなう線維筋痛や不眠、強い不安、うつ病などが生じます。

血液中ではグルコースが急激に増え、それを抑制するためにインスリンがあとにつづきます。

指揮者(インスリン)が事態に対処するために立ち上がるのです!

 

インスリンが正常値を超えると、脳にはいくつかの影響がでてきます。

まず、インスリンを抑制し、グルコースを減らすために脳がつくりだす酵素が活動し始めます。

これはインスリン分解酵素(IDE)と呼ばれます。

このインスリン分解酵素は、脳から有害なアミロイド・タンパクを除去する役目もはたしています。

問題は、インスリン値と血糖値が抑制できなくなると、インスリン分解酵素が、

形成されてくるアミロイド斑や神経原線維のもつれ、アルツハイマーの病状そのもの—を

排除するのではなく、インスリンを除去するために過剰に働くようになるのです。

インスリン値が急激に上がると、脳内の回路を混乱させ、結果的に脳が動かなくなります。

心理学では、このプロセスを<ブロッキング>[阻止現象]と呼んでいます。

脳のフリーズ状態、つまりブロッキングによって最も映姫様を受ける脳の部位は、

脳の学習と記憶の中枢である海馬です。

こうして増えたアミロイド・タンパクは、神経細胞膜やミトコンドリア(エネルギーを

生み出すエンジン)や、細胞膜そのものを攻撃する有害なフリーラジカルを放出します。

この脳の損傷は、脳そのものの防衛細胞である大膠細胞を刺激して、損傷した細胞を

攻撃するようになり、それによってアルツハイマー病で起きるような細胞の損失を引き起こします。

 

ステップ1—-

アルツハイマー予防食(4章)に記すように、脳にアミロイド・タンパクが蓄積するのを防ぐコツは、

インスリン値のバランスを保つことです。

そして、規定された食事をとれば、それができるのです。

 

 

 

この続きは、次回に。

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