認知症にならないための 決定的予防法-64
閉塞性睡眠時無呼吸とアルツハイマー病
いびきは睡眠中に息を吸ったり吐いたりするとき、喉のやわらかい部分が振動することによって
生じますが、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)では、いびきをかいている最中にしばらく息を止めている
時間があります。
呼吸をしていない時間(無呼吸)は、上気道[鼻から喉頭まで]がふさがれることによって起こります。
無呼吸の状態は、完全に目を覚まさない、一瞬の覚醒によって中断されたりします。
OSAが最も脳におよぼす損害は、それによって第三段階、第4段階、およびレム睡眠が
妨害されることです。
閉塞性睡眠時無呼吸になると、酸素の値が低くなりますが、これは気道の閉塞によって空気が
肺に達しなくなるために起こります。
酸素値が低いと、脳や心臓の機能にも影響がおよびます。
OSAは成人では喘息よりも多く見られ、OSAをわずらっている人の三分の二は肥満です。
睡眠1時間当たり、無呼吸(完全な閉塞)の回数が20回以上ある人は、無呼吸の回数が少ない人と
くらべて、心調律と心拍数の障害や、脳卒中、心臓発作のような、高血圧の合併症から死亡する
危険が多くなる可能性があります。
OSAの治療の一つは減量することであり、また気道にたいして陽圧を加える装置、CPAPを
使うこともあります。
気道に陽圧をかけて睡眠時無呼吸にきちんと対処することで、C反応性タンパクの血中濃度が
下がり、血小板活性化を示す二つのマーカーの値も下がることが研究からわかっています。
OSAがどうか気になる方は、いびきをかいているか配偶者に聞いてみるか、睡眠中の自分の物音を
録音してみてください。
50歳以上の肥満の男性で、いびきをかくなら、OSAである可能性は高いでしょう。
女性もこの障害にならないわけではありません。
手遅れにならないようにしてください。
OSAについて、主治医に相談しましょう。
これは体と脳から活力を奪う寄生虫のような存在なのですから。
自己達成する予言
充分な睡眠—および通常の睡眠周期—をとらずにいると、予言が自己達成することになります。
ドーパミンが少量しか分泌されなくなり、そのため意志力が萎えてきます。
ドーパミンが減ると、次のような症状がでてきます。
◉ 食欲が増し、過食、暴飲するようになる。
◉ レプチン(満腹感を覚えさせる特殊なホルモン)が減る。
◉ グレリン(空腹感や食欲を刺激するホルモン)が増える。
◉ うつ病になる傾向が高まる。
睡眠が減ると、セロトニンの量も減ります。
セロトニンが減ると、体のバイオリズムが変わり、痛みに対する感度が増して、恐怖や警戒心、
パニックに駆られながら朝早く目が覚めるようになります。
セロトニンが減ることで食欲も増し、とくに単炭水化物(ポテトチップス、クッキー、ケーキ、
キャンディ、白パン、白パスタなど)を食べたくなります。
(私が世話になっている栄養士は冗談まじりに、ストレスがある[stressed]という言葉は、
デザート[desserts]を逆に綴ったものだと教えてくれました!)。
セロトニンが減ると、寝つくのにより多くの薬が必要になりますが、こうした薬品は人間に
備わっているバイオリズムやホルモンのバランスに影響を及ぼします。
ドーパミンが減ると、実行機能が衰え、それと同時に、計画を立てて何かをやりとげる能力も
なくなります。
そのうえ、ドーパミンが減ると、自制心もいちじるしく現象します。
私は何百人もの患者を対象に、無数の非公式な研究を長年おこなってきており、依存症に苦しむ
人びと—アルコールであれ、薬物、セックス、食品であれ—も前頭葉をはじめとする、脳の重要な
部位でドーパミン受容体が少なくなっていることを発見しています。
この続きは、次回に。