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認知症はもう怖くない ㉔

第6章   自分でできる脳のお手入れ

    ◉ 暮らしの中でさっそく始めよう

 

「これで安心!」と思うのは逆に危険

 

世間でさまざまに語られている「脳のお手入れ」は、たいていイコール「認知症の予防法」では

ないということです。もちろん、「脳のお手入れ」をすることによって認知症の症状が進んでしまうと

いったことはあり得ませんが、「脳のお手入れ」をしたからといって、認知症にならない保証を

獲得できるわけではないのです。むしろ怖いのは、「脳のトレーニングをしているから、自分は

認知症にならない」と安心してしまうことです。

最近は週刊誌などでも「これをしていれば認知症にはならない」とばかりに脳トレ的なものを

紹介する記事が増えてきていますが、脳の活性化と認知症の予防もすべてがイコールではありませんので

盲信は危険です。

〝脳トレ〟をやっていたために、かえって認知症への対処が遅れてしまうということもあり得ます。

「おかしいな」と思ったら、躊躇せずに専門医に診てもらうようにすることです。

迅速な対応は、あなたを救います。

 

「認知症にいいこと」と「脳にいいこと」はイコールではない

 

「認知症にもいい」とはっきり結果がでているのは、後述しますが「歩くこと」だけです。

数ある脳トレの中でたったひとつしかないからこそ、私は「認知症にいいこと」と「脳にいいこと」は

イコールではないと口を酸っぱくして言っているのです。

 

「脳のお手入れ」は、こまめにしておきましょう!

 

それでは各論に入る前に総論的な話をいくつかしておきましょう。

シナプス(脳内の情報伝達のための接合装置)の数を減少させない「脳のお手入れ」方法としては、

まず第一に指先を使うことです。

シナプスは脳の活動に応じて増えるといわれています。

指先を使うと「ボケ(差別用語として最近では用いませんが、ここでもあえて使わせていただきます)

予防にいい」というようなことを聞いたことがありませんか。

ヒトの指の動きは大変複雑な神経回路で調節されています。

つまり、指先を使うこと(習字、裁縫、ピアノ・ギター、パソコンなど)は脳の活性化につながるのです。

適度な運動も脳の活性化につながります。

いちばん簡単でお金がかからない運動は歩くこと(散歩)です。

少しでもいいので、毎日、規則正しく、自分の都合のよい時間帯に散歩することをおすすめします。

太極拳、ヨガ、エアロビクス、ゴルフ、テニス、水泳などを楽しむことも脳を活発にさせるために

効果的です。また、共同運動(たとえば、右手と左手にそれぞれ「ほうき」と「ちりとり」を持ち、

両手を使って掃除する)も脳の活性化にいいと言われています。

 

五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を磨こう!

 

すべての入力情報は脳内の記憶情報を呼び出し、それが経験したものがどうかを判断します。

記憶にないものは最新情報として脳に登録(記憶)されます。

感覚情報である五感も同じで、五感を働かせることはすべて脳の活性化につながります。

五感を研ぎすますには自然に接することがいちばんかもしれません。

普段の生活の中でも、かすかな変化を「目を凝らして視る」「耳をすませて聴く」「しっかりと鼻で

匂いを嗅ぐ」「じっくり舌で味わう」「触って肌で感じる」といったような週間と姿勢は大切と思われます。

 

 

この続きは、次回に。

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