『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』⑥
Chapter2 トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術〜基本編〜
12.「トヨタの1枚」のベースにある3つのステップ
「1枚」の書類作りから本質の部分を抽出し、「〝伝わるカイゼン〟『1枚』フレームワーク」として
体系化しました。
「紙1枚にまとめる」作業を大きく分けると、ほとんどの場合、次のような3つのステップから
できています。
① 考えるベースとなる情報を書類に「整理する」
↓
② 自分なりの「考え」を書類に「まとめる」
↓
③ 書類の内容を誰かに「伝える」
この3つのステップがしっかりと踏めていれば、最後に「資料化」するのはそれほど難しくありません。
「紙1枚にまとめる」うえで大切なのは、資料そのものの作成法よりも、前段階の思考整理法なのです。
そこで第2章では、トヨタで働く人たちが「1枚」の作成を通じてやっている思考整理法に焦点を合わせ、
それをいかにほかの仕事の場面で活用していけばよいか、具体的な方法をお伝えしていきます。
13.まずは「どうしよう」を「どうさ(動作)」に変えなさい
「具体的にどうすればよいかわからない–」という悩みをカイゼンするためのキーワードが「動作化」です。
表現に含まれる「動詞」を、目に見える「動作」に変換することで、誰でも再現できるようにするのです。
「動作」に落とし込めば実践するのは簡単
「仕事をするうえでは、目的を意識することが大切だ」といったアドバイスを、これまでに一度は
見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
代表的な例として、名著『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー/キングベアー出版)の中にも、
第2の習慣として「目的を持って始める」という項目が出てきます。
ここで質問です。
もし、あなたが「『目的を意識する』には具体的にはどうすればよいですか?」と聞かれたら、
どう答えるでしょうか?
私がトヨタで実践していた方法はこうでした。
「目的を書き出した紙を、繰り返し見る」
「動詞」でごまかされず、「動作」に落とし込む。そうやって初めて実践が可能になります。
実践できるからこそ、日々の働き方が変わり、望む未来を手に入れることも可能となるのです。
これから、「紙1枚」にまとめる技術のポイントである「整理する」「考えをまとめる」「伝える」という
動詞表現に置き換えながら説明していきます。
14.すべての基本となる「エクセル1」の使い方
まず1つだけ心がけておくべき大切な予備動作があります。
それは、考えるベースとなる情報を「整理する」ことです。
「1枚」にまとめるのに必要な素材はこの3つだけ
私が提案する「紙1枚」にまとめる技術では、次の3つの素材を用意します。
・テーマ
・3色(緑、青、赤)のペン
・1枚の紙
テーマ、すなわち「何について」ということを最初に決めておけば、人はその枠組みの中で必要な
情報を取捨選択できるようになります。
必要な情報をまとめるには、まず、「テーマを決める」ことが先決です。
そして、そのテーマに関連する内容を探っていく。
これが情報を「整理する」ための第一歩です。
頭の中のごちゃごちゃを「1枚」の紙に書いていきます。
「エクセル1」の使い方①:フレームを作る
ここで使うのが、私が「エクセル1」と名づけた小さなフレームの集合体です。
ここに、テーマに応じた頭の中から検索されたキーワードを書き出していきます。
では、この「エクセル1」の使い方を説明しましょう。
まず、ノートにフレームを書いていきます。
通常は、A5またはB5サイズのノートをページが横長になる向きにして書いていきます。
そこに、4個、8個、16個、32個、64個—-という具合に、フレームを書いていきます。
書き方は簡単。最初に緑色のペンで上下の真ん中に横線を引き、次に左右の真ん中に縦線を引きます。
さらに縦線を2本追加すれば、8個のフレームの完成です。
ただし、1つのフレームの大きさがあまり大きくなりすぎないように注意してください。
「エクセル1」の使い方②:キーワードの使い方
フレームを書いたら、いちばん左上のフレームの中に「日付」と「テーマ」を書きます。
緑色のペンで記入。
「テーマ」を書いたら、その答えを今度は青色のペンで残りのフレームの中に書いていきます。
頭に浮かんだ「キーワード」をどんどん書きます。
原則として、1つのフレームに書き込む「キーワード」は1つ。
枠の中を順番にキーワードで埋めていってください。
ご覧の通り、情報の「整理」ができました。
「エクセル1」の使い方③:考えを書き出す
ここから次の「考えをまとめる」プロセスに入るので、そのことを意識づけできるように、
ペンを赤色に切り替えます。
最大のポイントは、赤ペンで実際に書きながら行う、という「動作」にあります。
まず、緑色のペンで枠組みを作り、そこで青色のペンを使って頭の中の情報を整理する。
続いて赤色のペンを手に取り、書き出された情報に対する思考を深めていくのです。
紙に書き出すからこそ、頭のごちゃごちゃが整理され、紙を見ながら考えるからこそ、思考が逃げず、
集中できる。したがって、自然と答えを導きだせる、というところがポイントです。
ふだん考えをまとめる作業が苦手だという人は、これを頭の中だけでやろうとするために、思考が
前に進まないのです。
この続きは、次回に。