『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』⑩
Chaoter3 トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術〜応用編〜
26.論理的に考えをまとめ、わかりやすく伝える「ロジック3」
今まで「あなたの話はわかりにくい」と言われた経験はありませんか?
あるいは「自分の主張をもっと論理的に伝えたい」と思ったことはありませんか?
ここまで、「エクセル1」というもっとも基本的なテレームを使って、「情報を整理し、考えをまとめ、
伝える」技術を紹介してきましたが、ここからはさらに、「論理的に考えをまとめ、わかりやすく
伝える」ことに重点をおいた「ロジック3」という新しいフレームを紹介します。
「ロジック3」をつかうときの基本的な手順
※ 省略致します。
27.誰でも論理的に話せるようになる「3つの切り口」
どうして「ロジック3」を使うと、わかりやすく、論理的に伝えることができるのか—-そのカギは、
先ほどご紹介した「What?」「Why?」「How?」の3つの切り口にあります。
実は人が何か疑問を解消しようとするときの質問は、ほとんどの場合「What?」「Why?」「How?」の
3つに集約されるのです。
あらかじめこれらの3つのタイプの質問を想定し、それに対する答えを用意しておけば、相手が知りたい、
聞きたいと思うことについて明確に説明できる———-すなわち、「論理的に考えをまとめ、
わかりやすく伝える」ことができるのです。
「What?」「Why?」「How?」の順番は柔軟に変えていい
質問と答えの連鎖によって思考が深まるのです。よって、「What?」→「Why?」→「How?」と
いうように、考える順番を固定してしまうと、質問をうまく想定できなくなってしまいます。
そこで、テーマに合わせて順番を臨機応変に変えながら考えるようにしてみてください。
28.「手で書く」作業が論理的な思考回路を鍛える
「最初のうちは、ぜひ手書きで書いてください!」
「ロジック3」のフレームの場合は、仕事のウォーミングアップという面もありますが、それに加えて
「思考回路を作る」という役割があります。
「ロジック3」のフレームを手で書くのは、論理的な思考回路を目に見える形で紙に書き出し、
その順番に沿って頭を動かすための作業なのです。
いわば、頭の中に論理的な思考回路を作るトレーニングです。
よって、「ロジック3」のフレームの順番に考えていけば、自動的に論理的な思考が身につくことに
なります。これを続けていけば、やがてわざわざ紙に書き出さなくても、自然と論理的に考える
癖がつくでしょう。ただし、最初のうちはやはり、手書きで作ることを意識してください。
29.「ロジック3」の活用法—その1 新規企画のプレゼン資料を作る
※ 省略致します。
30.「ロジック3」の活用法—その2 社外セミナーの結果を報告する
※ 省略致します。
31.「いかに仕事を停滞させないか」が「紙1枚」の本質
数々の「トヨタの1枚」を見る中で、私はほとんどの「トヨタの1枚」に、3つの内容が盛り込まれて
いることに気づきました。
① 今、なぜこの仕事が必要なのか?(何のために、この仕事をやっているのか?)➡️目的(Why?)
② 現在、どんな課題があるのか?(どんな問題を抱えているのか?)➡️課題(What?)
③ 課題に対してどんな手を打っていくのか?(どんな解決法があるのか?)➡️解決案(How?)
トヨタの社員たちは、常にこの3点を1枚の用紙にまとめておくことに意識を向けていました。
そこがおろそかになっていた当時の私は、上司に門前払いをくらってしまったわけです。
「エクセル1」と「ロジック3」があれば必ず仕事は進む
トヨタで働く人たちが「1枚」を作る際に常に意識を向けている「Why?「What?」
「How?」は、「ロジック3」に対応しています。
つまり、仕事が停滞し、行き詰まったりしたときには、とりあえず「ロジック3」
を書いてみるのです。
あるいは、「エクセル1」を使って、「仕事が停滞している原因は何か?」などの問いを立てて、
考えてみてもよいでしょう。
私がお伝えしている「紙1枚」にまとめる技術の本質は、実は、「いかに仕事を停滞させないか」と
いう点にあります。
仕事が行き詰まってしまったとしても、とにかく手を動かして書く。
止まっている時間があったら、ひとまずは1枚の紙を取り出して、そこに考えを書き出す。
手を止めさえしなければ、嫌な停滞感はなくなります。
そして、紙の上に書くうちに、次の一歩をどう踏み出せばよいか、そのヒントが必ず見えてきます。
その一歩の向かう先が、正しいのか間違っているのかは、この時点ではさほど重要ではありません。
とにかく一歩を踏み出して、仕事の歩みを止めないことが肝心なのです。
そうすれば、停滞しているときより、気持ちはずっと楽に、そして前向きになるはずです。
この続きは、次回に。