お問い合せ

池上彰のやさしい経営学 1しくみがわかる ㉔

広がるFTAやEPAの動き

現在はWTOが国際的なルールを決めることになっていますが、159の国が一緒に会議をすると、

とても時間がかかります。これではいつまでたっても話が進まない。

それならWTOとは別に、お互いに気心が知れている仲のいい国同士でルールを決めればいいじゃないか、

という動きが次第に広がっていきます。

それがFTAやEPAと呼ばれるものです。

FTA(自由貿易協定)は特定の国や地域間、たとえばASEAN(東南アジア諸国連合)やEUなど、

各地域に経済的な集まりがありますよね。

そういう国や地域との間で、もの(商品)にかかる関税をなくしたり、サービスの提供を認めたり

しようということです。もう一つ、EPA(経済連携協定)は、ETPよりさらに幅広いものを言います。

経済ニュースではFTAやEPAなどいろいろな言葉が出てきますが、FTAよりもっと幅広い

経済関係の強化を目的とするのがEPAです。

 

FTA: Free Trade Agreement 自由貿易協定

特定の国・地域の間で、ものにかかる関税およびサービス貿易の障壁の撤廃を目的とした協定。

 

EPA: Economic Partnership Agreement 経済連携協定

FTAの内容に加え、投資規制の撤廃、紛争解決手続きの整備、人的交流の拡大、知的財産権の

保護など、より幅広い経済関係の強化を目的とする協定。

 

農業国ではなく工業国とやり取りする日本のEPA戦略

日本は工業国とEPAを結びます。

お互いにメリットがあるんですね。

 ※ 省略致します。

 

[補足講義] 米輸入の圧力が高まった背景

※ 省略致します。

 

介護や医療の現場に透けて見える日本のEPA政策

EPAはすばらしいと一般論では言えますが、実態を見ていくとこのような日本の政策が透けて

見えてきます。つまり、医療や介護の現場で人が足りない、だからEPAを結んで人件費の安い国から

多くの研修生を受け入れる。でも、日本人の仕事が奪われては困るから、難しい試験に合格しないと

日本での資格を与えない。介護士や看護師を目指して日本にやってきた多くの外国人たちは、

研修期間が切れると、失意の中で帰国するケースも多くあるのです。

病院や介護施設にすれば、一定期間、本国での資格を持っている能力や技術のある人たちを

研修料金だけで働かせることができて、非常に安あがりだということです。

 

TPPとは何か

それでは、TPPとは一体何なのか見ていきます。

TPPはTrans-Pacific Partnershipの略です。

transというのは「環」という意味ですから、太平洋を取り巻く国々が戦略的にお互い経済で

連携していきましょう、つまり関税をなくしていきましょう、ということです。

また、関税だけでなく金融商品も自由に売買できる関係をつくろうという話も進んでいます。

 

TPP(環太平洋経済連携協定)参加国: シンガホール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、アメリカ、

オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシア、カナダ、メキシコ。

 

TPP: Trans-Pacific Partnership 環太平洋経済連携協定

 

日本がTPPに参加表明をした理由

※ 省略致します。

 

自国産業を守るため、それぞれの言い分がある

※ 省略致します。

 

産業の空洞化:国内企業が生産拠点を海外に移転することにより、国内でその産業が衰退すること。

 

フリードマンの理論ほど単純ではない

前回の授業でのフリードマン流に言えば、輸入を自由化しないで守っているということは、

効率の悪い産業を国民の税金を使って守っているようなものだから、すべて自由にしてしまう

ほうがよい。効率が悪い産業が潰れて消えてしまってもそれは仕方がないことだ。

激しい競争の中で効率的なところだけが残れば、それは全体にとって有利になる、ということです。

果たしてそれほど簡単に割り切れるものなのかというのが、いま日本が抱えている大変重要な問題です。

2013年になって協議に参加することになりましたが、この先どうなるか、なかなか見えてきません。

 

Q 復習問題 7

 

第1問  FTAよりEPAのほうが扱う範囲は幅広い。

 

                ⚪️ FTAは自由貿易協定の略称。EPAは経済連携協定の略称である。

 

第2問  日本が輸入する米には高い関税が掛けられている。

 

                ⚪️ 関税率は778%である。

 

第3問  TPPに現在参加している国は、次のうち3である。

              1  アメリカ

              2  ブルネイ

              3  韓国

 

               × 韓国は参加していない。

 

 

 

この続きは、次回に。

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