お問い合せ

超ロジカル思考 「ひらめき力」を引き出す発想トレーニング⑯

・  新商品ではなく、新しいイメージを生み出したペプシ

こうしたモノがあふれる時代のマーケティングに置いては、商品ではなく顧客の内面を知ることが

大切になる。そうしたニーズに対応するために、マーケティングが生み出した画期的な手法が、

「セグメンテーション」と呼ばれる顧客を分類する手法である。

これを使ってペプシコーラがコカ・コーラ(コーク)から大きなシェアを奪取することに成功したのが、

いまではマーケティングの世界の伝説にもなっている「コーラ戦争」である。

 

※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

・  ビジネスチャンスの見え方が変わる

ここでペプシが取ったのが、顧客を分類するというアプローチである。

消費者を「若くて挑戦的で都会的な人」か「それ以外の人」に大きく分けた上で、前者はペプシを

飲みましょうとやったのだ。これによって、自分は「若くて挑戦的で都会的」だと思う人が、

突如としてペプシを自ら選択するようになったのである。

このように、顧客や市場をどう見るかによって、ビジネスチャンスの見え方が違ってくることが

わかるだろう。

 

・  ペプシ・チャレンジはなぜ成功したのか

次にペプシが放った攻撃は、1975年から始まる「ペプシ・チャレンジ」だ。

全米各地にコーラ愛好家を集め、ペプシとコークのブラインド・テイスティングを行った。

目隠しをした状態で美味しい方を選ばせるという実験だが、ここで過半数の人がペプシを選ぶ

傾向が明らかになったことから、「味で選ぶ人はペプシ」というイメージを打ち立てることに

成功した。言い換えれば、コークとペプシの味には、普通の人が利き分けられるだけの差はないと

いうことになる。それにも関わらず、ペプシ・チャレンジは大成功した。

それではここでエクササイズをしてもらおう。

 

Exercise  5-2

先ほどのペプシ・ジェネレーションの図を参考にしながら、ペプシ・チャレンジのときに

起こったことを表現してみてください。

 

⭐️ ヒント

顧客を分類することがセグメンテーションの本質です。

 

ここでは、ペプシは顧客を分類するための第2の軸を持ち込んだ。

それは「あなたは味で選びますか、それともブランドで選びますか」というものだ。

これによって、自分は「味で選ぶ」という消費者をコークから切り取ることに成功したのである。

ここでも、実際の味に大きな違いがないのは明らかだ。

味を利き分けることはできないが、何となく過半数の人がペプシを選ぶという傾向を利用して、

「味で選ぶ人はペプシ」という認識をつくり出すことに成功したのだ。

それによって、「自分は味の違いがわかる」と思われたい人、「どうせなら美味しい方がいい」と

思う人が、ペプシと書かれたボトルを選択するようになったのだ。

 

・  ダイエット・コークを口火に反撃

コーラ戦争にはさらに続きがある。

今度はコカ・コーラの反撃が始まる。まず、ダイエット・コークの発売が第一弾だ。

このダイエット飲料は当初の予想を超えるヒット商品となり、ダイエット飲料でトップ、飲料全体でも

3位にランキングされるようになった。ここでまたエクササイズをだそう。

 

Exercise  5-3

ダイエット・コークの発売で起こったことを、ペプシ・ジェネレーションやペプシ・チャレンジの

図を参考にしながら表現してみてください。

 

⭐️ ヒント

繰り返しになりますが、顧客を分類することがセグメンテーションの本質です。

 

今度は、コカ・コーラ側が顧客を分類する第3の軸を持ち込んだ。

それは、「あなたは健康志向が強いですか、それともそれを気にしない人ですか」というものだ。

ここでは3次元の図を描くことは難しいので、2次元の図で表現すると、次のようになろう。

つまり、「私は健康志向が強い」と思う人がダイエット・コークに飛びついたのだ。

これによって、右上のゾーンをペプシから奪い返すことに成功した。

 

・  ニューコークはなぜ失敗したのか

次に、コカ・コーラが放った反撃の第2弾が、「ニューコーク」と言われる新しいブランドの

導入である。ペプシ・チャレンジで、目隠しされると過半数の消費者がペプシを選ぶ事実を

見せつけられたコカ・コーラの経営者は、大きな脅威を抱いた。

そして、「ペプシに勝てる味」の調合に多大なエネルギーを割くこととなった。

その結果生まれてきたのがニューコークである。

目隠しをしてブラインド・テイスティングをすると、過半数の人がニューコークを選んだのだ。

1985年、コカ・コーラはこの新しい商品をひっさげ、ペプシ・チャレンジで奪われたシェアを

一気に取り戻そうとした。ところが、これが大失敗につながる。

2つのブランドが並存するのはわかりにくいと考え、ニューコークを売り出すと同時に、

従来のコークを廃止してしまったからだ。

これに対して、コークを支持してきた保守的な顧客が猛反発する。

自分たちのブランドが突然取り上げられ、ニューコークという異質なものを押しつけられた。

そう感じた全国のファンから、コカ・コーラに対する抗議が殺到し、それは日を追うごとに

激しくなっていった。

 

Exercise  5-4

ニューコークの発売で起こったことを図で表現してみましょう。

なぜニューコークが失敗に終わったのかを説明することができたでしょうか?

 

この騒動から、ブランドとは消費者のものであり、彼らのライフスタイルの一部になっている

ことがわかる。製造元の企業といえども、それを勝手に変えることは許されないということだ。

 

 

この続きは、次回に。

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