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IoTビジネス入門 ㉕

エピローグ IoT時代をどう生きるか

 

■   海外に向けた情報感度を高め、ネットワークする

 

真・第四次産業革命が起きつつある背景と、パーソナライゼーション、そしてグローバリゼーション、

これらのインパクトがわかったところで、IoT社会で我々がどう生きていくべきなのかについて考えます。

まずは、情報収集とコミュニケーションについてです。

日本人は英語が操れないという問題から、海外の情報を仕入れたり、海外の人とのネットワークを

広げようとしない人が多い実態があります。

しかし、たとえば日本のセンサー企業がシリコンバレーで生まれたクラウドサービスにつなぎたいと

考えて時、語学力は必須になります。

そもそも、自社製品につなぐとよさそうなサービスが、海外で立ち上がっていることを知る為の情報

収集にも必要でしょう。また、シリコンバレーやサンフランシスコのスタートアップに取材に行くと、

製造は「Shenzhen(深圳)」で行う、という話をよく聞きます。

 

これは、中国企業と日本企業を比較して決めているだけではないようです。

どういうことかと、日本人ビジネスマンが英語を話さない、できることを表現しないため、わかり

やすい企業(現状であればスマートフォン関連製品ですでにシリコンバレーの企業と取引のある中国

企業)とやり取りをしがちだということです。

このことからも日本のIoT関連企業は、まず、これまでよりも英語や中国語などのコミュニケーション力を

高めていくことが重要だといえます。

さらに、なるべく時間をとって、他国に旅行し、自社のビジネスと関連する産業がどのように生活に

根づいているか、ニーズはありそうか、という感覚を持つことも重要です。

私は多くの国に出張をして、「日本ほど通信環境の整っている国はない」という感想を持っています。

しかし、この話を仕事仲間やクライアントに話すと、「知らなかった」と言うのです。

このことからわかるように、日本の通信環境を前提としたサービスは、他国でも対応可能とはいえ

ないのです。

こうして、いろんな国の状況を肌で感じて、自社の製品の可能性を模索することが、すべてのIoT関連

ビジネスに取り組むビジネスマンにとって重要なことになるでしょう。

 

■   私たちの仕事は、ロボットに奪われてしまうのか?

 

最近のメディアを見ていると、IoTや人工知能が我々から仕事を奪うという議論の記事があります。

1995年、ウインドウズ95が発表された時も、「我々の仕事はコンピュータに奪われる」と煽っている人を

よく見かけたものです。

それで実際、何が起きたかというと、パソコン教室というビジネスが立ち上がり、入門書が数多く

出版されました。その後、20年ほどの月日がたち、パソコンを使えない人はほとんど見かけなくなり

ました。

そして、インターネットビジネスというまったく新しい産業を創出し、多くの人の仕事を「増やす」

結果になりました。

 

では、IoTではどうなるでしょう。

現実的に考えれば、すべての労働を機械に置き換える作業は決して簡単ではありません。

細かなノウハウや技術が必要な部分については、まだまだなくならないでしょう。

置き換える方式やどの機械を導入するかなど、ヒトが現場の知恵を活かしながら考えなければならない

ことは山ほどあります。

それでも、説明書通りやればよい、しかもロボットのほうが安い、というような単純な仕事については、

ロボットに仕事を奪われる結果になるかもしれません。

このように「IoTによって仕事が奪われる」と論じているヒトの多くは、「人工知能とロボットのような

機械によって単純な仕事が減る」ということを言っているのです。これは、パソコンが登場した時と

同じです。

人工知能についても割と誤解しているヒトが多いのですが、「人工知能」といってもまつたく何もない

ところから新たなことを着想するモノは未だ存在しません。

多くは「教師データ」と呼ばれるサンプルの情報に基づいて処理をし、ある程度応用できる、という

レベルです。

人工知能の能力と、従来からある「多くの情報を素早く処理する」というコンピュータの特性を合わ

せたとき、「教師データがつくれるようなコトについては、人工知能が作業を代替するコトができる」

ようになるのです。

 

たとえば、工場のラインでの組み立ての多くをロボットが代替していました。

それでも、箱に雑然と入れられ、散らばるネジを取り出すといった作業はロボットには苦手でした。

しかし、最近の画像認識技術の向上によって、こういった細かな選別作業も可能となってきたのです。

こうした技術の進歩によって、ネジの山からネジを取り出し、ネジを締めるという作業は、費用面さえ

折り合えば、ロボットに奪われるコトとなります。

また、経理の仕分け作業などもロボットで代替しやすいものです。

現状でも、銀行の入出金情報やクレジットカードの決済情報を入力情報として、企業会計の仕分けを

行うサービスは出てきています。

これに加えて、人口知能が活躍することで、これまで税理士や会計士が行ってきた付加価値業務である、

「どこがボトルネックとなるか」「どういう点を改善していけばよいか」というアドバイスは自動化が

可能な領域となります。

さらに、自動運転カーはタクシーの運転手を不要とするかもしれないし、ドローンを活用することで、

無人の流通業が起きることも考えられています。

 

 

 

この続きは、次回に。

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