シェア < 共有 > からビジネスを生みだす新戦略 ⑲
□ 脱消費
再分配市場の環境への明らかなメリットは、ひとつの品物を何度も利用することで、
それを最大限に活用し、品物のライフスタイルを伸ばしていることだ。
だが、それより重要なのは、再分配することで、新品の生産によって生まれるゴミや
二酸化炭素の排出が減り、投入される資源が節約できることだ。
中古品を郵送したり、車で引き取って移動させれば、新品を生産するのに原材料を投入し、
できた品物を輸送し、結局はゴミ置場に廃棄することに比べて、環境へのダメージが少ない。
リユースのもうひとつのメリットで、また思いがけない結果でもあるのは、そこに
コミュニティができることだ。
※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。
□ 私があなたを助ければ、だれかが私を助けてくれる
人類学者や社会経済学者は、何かいいことをしてくれたら、お礼にいいことをしてあげるという、
「直接的な互酬性(reciprocity)」の原則を、長年にわたり研究している。
この言葉の語源は、「re」と「pro」、つまり人と人の間を行ったり来たりするという意味だ。
よく聞く言い回し、「あなたが私の背中を掻いてくれれば、私があなたの背中を掻いて
あげましょう」は、おしつけがましく聞こえる。
「自分がされたくないことを、他人にしてはいけません」の方が理想に近いだろう—-
いずれにしろ、どちらの言い回しも、人間に生まれながらにして他人の好意に報いる
ものだ、という考えに立っている。
私たちは、相手に何かをしてあげることが長い目で見れば自分のためになると知っている。
ソーシャルネットワークでは、助け合いが間接的に行われる(間接的互酬性)。
そこではもう「私があなたを助ければ、あなたが私を助けてくれる」という単純な前提は
成り立たない。いまどきの助け合いの仕組みは、「私があなたを手助ければ、だれかが
私を助けてくれる」というものだ。
「間接的互酬性」の文化は、「贈与経済」とも呼ばれ、これは、今すぐに、あるいは
先になって見返りがあるというはっきりした取り決めがたとえなくても、モノやサービスを
与えることだ。このモデルが、フリーサイクルではうまく機能している。
いろいろな面で、フリーサイクルは、ツイッターやお互いの写真をダウンロードしたり
されたりするフリッカーといった、オープンソース・プロジェクトのネットワークを
拡大させているのと同じような心理が通貨として行き交っている。
こうしたシステムでは新しいこと形の信頼や互酬こそが必要とされ、そうした行動原理に
よってシェアやコラボレーション、名誉、社会性、そして忠誠心が強化されていく。
この続きは、次回に。