シェア < 共有 > からビジネスを生みだす新戦略 ㉔
□ シェアをカウンターカルチャーではなく、カルチャーのコアにすること
「その昔、ユートピア的なコミュニティを目指した人たちは、古いコミュニティを捨てて、
いちから全部やり直すことばかりに固執していたの—-だから結局失敗してしまった。
私たちがやろうとしているのは、シェアをカルチャーのコアな部分にすることなの。
カウンターカルチャーではなくてね」
ウィキペディアを見ると、コミューンとは、「資源が共有されるコミュニティ」と書かれている。
この広い目でコミューンをとらえると、アメリカや世界中のすべての街はコミューンに
なりうるし、集合住宅も学校も、教会、大学、寮、そして職場も全部がそうとも言える。
大勢の人で混み合ったバーに行くと、知り合いとだけしか話さない人に気づいたことが
あるだろうか?
反対に、ハウスパーティーに行くと、みんながだれとでも気軽に(とくに二、三杯飲んだ
あとには )話している。
自宅がシェアの環境、すなわち「居場所」を提供しているのだ。
知り合いや親しい友人の家にいるとくつろげて、その場の人々に親しみが湧くし、信頼
しやすくなる。
同じ仕組みが、成功しているヴァーチャルなピア・ツー・ピア・コミュニティにもあてはまる。
そこには、シンプルだが魅力的なコミュニティの理念—–写真のシェア、知識のシェア、
コードシェア—があり、さまざまな人々に、くつろげる居場所や共同創作のアイデアを
提供している。
コラボ的ライフスタイルでは、そうした居場所をとおして、人々がコラボレーションし、
新しい社会的つながりをつくり、シェアしたり助けてもらったりすることへの抵抗感と
古臭いイメージを払しょくする。
そうした居場所は、たとえばスミスのクルドサックやニューバークのコ・ワーキングスペースや、
トレードスクールのようなモダンな店舗といった、物理的な空間につくることもできるし、
スワップ・ドットコムやバーターカードといった、共通の趣味をもつ人たちが集まるオンライン
プラットフォーム上につくることもできる。しかし、魅力のある価値観をうまくブランド化して、
みんなが共感できるものにすれば、新しい行動やコラボレーションを促進できる。
スミスが見たもの、つまり何年も隣同士に住んでいたのに名前も知らなかったことが、それを証明している。
この続きは、次回に。