書籍「10年後の自分」を考える技術 ㉕
✔︎ 「いま、すべきこと」を明確にすれば、動き出せる
さて、このように、それぞれのシナリオ通りの未来がおとずれたらいったい
どうなるかを具体的に考えていくと、どの未来がおとずれようと「共通して
すべきこと」が見えてくる。
それは、今日から始められる「いま、すべきこと」だ。
これがわかるだけでも、シナリオを作る意味が十分にある。
「家庭環境と住まい」の例であれば、以下のことが「いま、すべきこと」に
なるだろう。
<いま、すべきこと>
● 住まいのプランニング(柔軟性が需要。資産価値にかだいな期待をしない)
● 家族ケアのプランニング(子どもをいつ作るかを夫婦の間でしっかり
話し合う、もし要介護状態になったらどうしたいかを親と話し合う、など)
● 仕事の柔軟性の確保(子育て・介護のときにフレキシブルに働けるよう、
スキルを身につけたり、仕事のやり方を変える)
● 収入と支出、貯蓄についてのプランニング(試算・シミュレーションが必須)
どうだろうか?
「いつか考えよう」と漠然と思っているだけでは、結局、現実にそういう状況に
なるまで考えることはない。
「いつかやる」は「いつまでもやらない」と同じことだ。
皆さんもそのことは実感として理解できるだろう。
考えることは面倒だし、行動することはもっと面倒だ。
しかし、具体的に「いま、すべきこと」がわかれば、動き出すことは
そんなに面倒なことではない。
面倒というのは、心理的な抵抗感が大半であり、時間的・労力的な
障害というのは、実はそんなにないのである。
何をすればいいかわからない状況から脱却できれば、人は動けるのである。
✔ 「来てほしい未来」は自分の力でたぐり寄せる
それ以上に「来て欲しい未来」がどれかを見極め、その未来にたどりつくために
「いま、自分ができること」を考えることが不可欠だ。
まったく同じ未来を「来てほしくない未来」とマイナスに捉えるか、
それとも「来てほしい未来」とプラスに捉えるのか?
✔ 「アーリー・ウォーニング・サイン」を見逃すな!
完璧なシナリオなど作成できないと考えよう。
「完璧かどうか」と考えた瞬間、それは思考が「正解探し」モードに
入っていることを意味する。
旧来の思考法の罠に落ちてしまっているわけだ。
くり返しになるが、まずは現状の範囲内で考えて、行動に移すことが
重要なのである。
ここで、アーリー・ウォーニング・サイン(Early Warning Sign=EWS)
という考え方が役に立つ。
EWSとは「予兆」のことであり、想定した複数の未来について、「いま、
どの未来に向かっているのか」の方向感をおさえるために必要となる指標だ。
このように、「世の中」にアンテナを立て、EWSに敏感になることで、
少しでも早く行動するクセをつけることができるようになるのだ。
✔ 日経新聞は先行情報を読む
新聞や雑誌の記事、テレビやネットのニュースなども、「先行情報」
「未来につながる情報」を優先的に見ていくことがキーになってくる。
とにかく、情報に接したときは、それがこれからの未来を示す「先行情報」
なのか、それとも過去に起きたことを示す「遅行情報」なのかは、しっかり
区別したほうがいいだろう。
✔ 「たいしたことは起きない」ことはない
人は現場と異なる意見、多数派と異なる意見を聞くと、「そんなことは
起きるはずはない」と断定してしまいがちだが、そうなるかどうかはいったん
脇に置いて、「そういうことも起こりえるかもしれない」と考えるようにしよう。
この続きは、次回に。