ブランディングが9割 ㉜
・デザイナーは誰に頼むのが良いか
「デザインは費用をかけるところではない」と考えている企業も、少なく
ありません。しかし、費用がないからとデザインを妥協するのはよく
ありません。
ブランドにとって、見た目や第一印象はとても重要だからです。
大手の代理店やデザイン事務所から独立した人や、デザイン協会所属の
フリーランスのデザイナーなどから発掘するというのも一案です。
その他、クラウドワークスやランサーズなど、クラウドソーシングを
利用するという方法もあります。
デザイナーは決して下請け業者ではありません。重要なパートナーです。
上から目線でお願いされたら、よいデザインを出そうとは絶対思わない
でしょう。デザイナーが本気を出すか出さないかで、ブランドが成功するか
どうかが変わってきます。
デザイナーに本気を出してもらえるよう、こちら側の「ブランドに対する
強い想い」をしっかり伝えていきましょう。
デザイナーの選定に悩んだ場合は、ぜひコンペを行いましょう。
本気を出してもらうためには、コンペは極力、有償にする方がよいでしょう。
ブランディングを行うに際しては、デザインに関する基本知識が必要です。
レイアウトの仕方や配色など、基本的なことが書かれているこちらの書籍が
非常におすすめです。
『デザイン入門教室[特別講義]』坂本 伸二(SBクリエイティブ)
第7章 成功が続く「ブランドの育て方」
✔ 徹底した管理がブランドの「らしさ」を守る
ブランドを運営する上では、お客さんとのすべてのタッチポイントに
おいて、ブランドが「らしさ」から逸脱しないよう、しっかり管理
しなくてはなりません。言い換えると、「各タッチポイントにおける
一貫性のある訴求」が、ブランドの「らしさ」をつくるカギとなります。
・世界観をルール化し、ガイドラインを基に管理を徹底しよう
ブランディングを行うに際して、商品パッケージや広告物、WEBサイトなど、
お客さんにそのブランドを伝えるための制作物をつくることになります。
そのときに大事なのが、ルールを決めてガイドラインを構築し、ブランドの
世界観と異なるもの、ガイドラインから外れたものが世に出ると、その
ブランドの「らしさ」がお客さんに伝わりにくくなるからです。
実際に、ロゴをガイドラインで規定していなかったために、アスペクト比
(縦と横の長さの比率)を無視したロゴや、色が異なるロゴが印刷されて
いるのを見たことがあります。
指定フォントとは違うフォントでロゴが描かれている外箱を見たことも
あります。
この場合、「らしさ」が伝わらないどころか、ロゴの管理をしっかりと
しないことで、本物であるにもかかわらず外国から輸入された偽物と判断
されてしまうことがあるかもしれないのです。
「らしさ」を保つには、「人」ではなく「ルール」で管理することがとても
重要です。
□ ロゴのガイドライン
制作物すべてにガイドラインが必須とは言いませんが、最低限、用意して
おきたいのは、ブランドロゴのガイドラインです。
通常、ロゴのガイドラインには、ロゴの使い方の詳細、アスペクト比を
崩してはいけないこと、背景によってロゴの色を変えることなど、カラーに
関する規定が細かく示されています。
□ ブランドのガイドライン
ブランドのガイドラインには、ブランド戦略、ブランドの目指す姿、
ブランドのターゲット、ブランドの提供価値などが記されています。
また、商品やサービスのコンセプト、販売価格帯なども規定されています。
□ デザインシステムのガイドライン
デザインシステムのガイドラインには、商品パッケージや各店舗の基本
デザインシステム、また、それぞれのフォーマットに合わせた展開デザイン
などが規定されています。
□コミュニケーションガイドライン
コミュニケーションガイドラインとは、ブランドコミュニケーション上、
利用可能な色を規定したカラーパレット、キービジュアル、従業員の服装が
ある場合はそのルールなどを、細かく決めたものです。
広告や販促物を制作する際に役立ちます。また、ブランドのイメージに
合う写真、合わない写真、使ってよい表現とだめな表現など、ブランドに
関わる表現方法が記載されています。
ガイドラインは、ブランドコンサルティング会社や広告代理店、デザイン
会社に作成してもらって終わりではありません。
何かあったらその都度、確認して、ブランドを正しく管理するための
ルールです。ぜひ有効活用しましょう。
ただし、ブランディングに携わる中では、ガイドライン通りにいかない
こともしばしば出てきます。そういったときは、都度ブランドの責任者を
中心として、「らしさ」を崩さないよう、新しいルールをつくっていって
ください。デザインに関することであれば、デザイナーに相談しながら
進めていくのがよいでしょう。
ガイドラインは、しっかりつくり込むととても費用がかかります。
多くの人や企業が寛容する商品の場合は、ブランドの一貫性を保つ上でも
ガイドラインをつくった方がいいのですが、小規模のブランドであれば
ロゴのガイドラインのみを作成し、デザインを担当する人がルールを決める
やり方でも問題はありません。
この続きは、次回に。