リテールマーケティング ⑤
④ 地方・都市間格差:地方の過疎化と少子・高齢化
少子化や東京などの大都市圏への人口流出により、地方においては急速に
人口減少や過疎化が進行している。これにより地域経済の規模が縮小する
とともに、生活必需品などを販売する店舗数の減少などにより、住んで
いる地域で日常の買物をしたり、生活に必要なサービスを受けたりするのに
困難を感じる「買物弱者」の問題が生じている。
また、地域住民が減少すると、地域コミュニティの衰退などによって地域
社会における人々のつながりが弱まり、高齢単身者など自立困難な消費者の
孤立につながるおそれもある。そのため、高齢者の見守りネットワークなどの
取組みが重要になってきている。
【 買物弱者 】
「住んでいる地域で日常の買い物をしたり、生活に必要なサービスを
受けたりするのに困難を感じる人たちのことです。
高齢の方を中心に、全国で約600万人いると推計されています。」
(経済産業省 買い物弱者を支えていくためにより)「買い物弱者」の
ことを「買い物難民」とも呼ぶ。
⑤ インターネットの普及とICT機器の発展
この30年で、情報通信技術の高度化など技術革新が急速に進展したこと
により、消費者の消費生活は大きく変化してきた。その大きな要因として、
特にインターネットの発展・普及が挙げられる。近年、インターネットの
利用率は8割を超えるなど、消費者にとって身近な存在になっている。
また、インターネットを利用するパソコンに代わり、持ち運びにも便利な
タブレット型端末やスマートフォンが広く普及してきている。
インターネットなどの普及は消費者の利便性を向上させる一方で、個人
情報の漏えいや迷惑メール、架空請求、インターネットを利用した詐欺
などの消費者トラブルへの不安も増大している。また、インターネットや
ICT機器を利用しない高齢者などとの情報格差(デジタル・ディバイド)も
生まれてきており、情報リテラシーが不十分であることに起因する消費者
トラブルも生じてきている。
【 デジタル・ディバイド 】
一般には、情報通信技術(IT)(特にインターネット)の恩恵を受けることの
できる人とできない人の間に生じる経済格差を指し、通常「情報格差」と
訳される。
「地域間デジタル・ディバイド」「個人間・集団間デジタル・ディバイド」
「国際間デジタル・ディバイド」などの種類があり、格差が発生する規模や
原因などによって使い分けられる。
○ 「インターネット利用率の推移(個人)」参照
出所:消費者庁「令和元年版消費者白書」
⑥ 電子商取引の拡大
このような状況を背景に、オンラインサービスを介して誰もがどこでも
商取引できる電子商取引が活発になってきている。
近年は、百貨店やスーパーマーケットなどの実店舗(リアルショップ)での
販売が頭打ちになってきている傾向がみられる一方で、パソコンやモバ
イル端末を利用して手軽に購入できる電子商取引の利用が増えてきている。
○ 「国内の電子商取引(BtoC)市場規模の推移」参照
出所:消費者庁「令和元年版消費者白書」
⑦ SNSが若者を中心に普及
インターネットが手軽に利用できるようになったことで、若年層を中心に
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)も普及してきた。
SNSは利用者間における新たな情報交換の手段となり、SNSのクチコミ
情報やSNSを通じたマーケティング、双方向コミュニケーションなどが
消費者の商品・サービスの選択に大きな影響を与えるようになった。
この続きは、次回に。