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リテールマーケティング ⑦

3. インターネット社会と小売業

 

① インターネット社会と小売業

 

高度情報社会といわれる現代、コンピュータによる情報処理とICT

(Information and Communication Technology:情報通信技術)が飛躍

的に発展し、日常生活のなかで「情報」が大きく意味を持つように

なっている。

これまで、世の中の出来事を知るための情報源としては、テレビや

ラジオ、新聞や雑誌などのマスメディアに限られていたが、今やイン

ターネットは代表的な情報源の1つとなっている。

総務省「令和元年版情報通信白書」によれば、2018(平成30)年のイン

ターネット利用率(個人)は79.8%となっている。また、端末別のイン

ターネット利用率は、「スマートフォン」(59.5%)が最も高く、「パソ

コン」(48.2%)を11.3ポイント上回っている。

 

○ 「インターネット利用端末の種類」参照

  出所: 総務省「令和元年版情報通信白書」

 

インターネットの普及に伴い、それを通じた商品やサービスの購入が

広がっている。総務省「家計消費状況調査年報(平成30年)」の結果を

みると、2人以上の世帯におけるネットショッピングを利用した世帯の

割合は、2018年は39.2%と10年前(16.3%)に比べて22.9%ポイント上昇

している。

2人以上の世帯における2018年のネットショッピングの支出金額は、

1か月平均12,610円で、前年に比べ19.1%の増加となった。

項目別に前年と比べてみると、「旅行関係費」が26.9%の増加、「衣類・

履物」が23.8%の増加となるなど、すべての項目で増加となった。

インターネットで購入する際の決済方法は、「クレジットカード払い」

(74.7%)が最も多く、次いで、「コンビニエンスストアでの支払い」

(43.0%)、「代金引換」(32.7%)、「銀行・郵便局の窓口・ATMでの

振込・振替」(27.5%)となっている。

 

○ 「インターネットで購入する際の決済方法(複数回答)」参照

  出所: 総務省「令和元年版情報通信白書」

 

② 拡大する電子商取引市場

 

インターネット上での電子商取引(以下、ECと略)は、時間や場所の制限なく、

誰でも参加できるというメリットがある。前項でもみたように、インター

ネットショッピングを利用する世帯および支出金額は年々増加しており、

利用頻度が高まっている。

国内のEC市場の実態について、経済産業省「平成30年度 我が国における

データ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」を

みると、近年、その規模はますます拡大する傾向にある。

ここでは、企業と消費者間(消費者向け)取引としてのBtoC-ECを中心に

概略をみていく。

 

(1) 国内 BtoC-EC 市場規模

 

2018年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、

18.0兆円(前年16.5兆円、前年比8.96%増)に拡大している。

また、EC化率は、BtoC-ECで6.22%(前年比0.43ポイント増)と増加

傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展している。

 

○ 「日本のBtoC-EC市場規模の推移(単位:億円)」参照

   出所: 経済産業省「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に

                係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」

 

また、BtoC-EC市場規模を分野別にみると、対前年伸び率は物販系分野が

8.12%(前年度:7.45%)、サービス系分野が11.59%(前年度:11.3%)となって

おり、これらの分野が成長市場であることがうかがえる。

 

○ 「BtoC-EC市場規模および各分野の構成比率」参照

  出所: 経済産業省「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に

                   係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」

 

このうち、物販系分野について市場規模の大きい順にみると、「衣類・

服装雑貨等」、「食品、飲料、酒類」、「生活家電・AV機器・PC・周辺

機器等」、「生活雑貨、家具、インテリア」、「書籍、映像・音楽ソフト」

である。これらはすべて1兆円以上の市場規模となっており、これらの5つの

カテゴリー合計で物販系分野の85%を占めている。

ちなみに、物販系分野のなかでスマートフォン比率が最も高いのは「衣類・

服装雑貨等」の50%強で、次いで、「書籍、映像・音楽ソフト」、「化粧品、

医薬品」、「生活雑貨、家具、インテリア」がそれぞれ約30%台で続いて

いる。

「衣類・服装雑貨等」のスマートフォン比率が高い理由は、女性や若年層と

いったファッション・アパレルに高い関心を持つ消費者層によるスマート

フォンを通じたBtoC-ECの利用が高いことが要因と考えられる。

このほかサービス系、デジタル系の分野においてもスマートフォン経由での

取引額が増加基調にある。

 

(2) 国内CtoC-EC市場規模

 

近年、ECチャネルの1つとして個人間EC(CtoC-EC)が急速に拡大している。

CtoC-ECの類型の1つであるフリマアプリの市場規模は6,392億円(前年

4,835億円、前年比32.2%増)ら急増しており、フリマアプリが初めて登場

した2012(平成24)年からわずか6年で6,000億円超の巨大な市場が形成

されたことになる。

 

○ 「フリマアプリの推定市場規模(単位:億円)」参照

  出所: 経済産業省「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に

       係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」

 

 

 

この続きは、次回に。

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