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リテールマーケティング  ㉗

4. Price(価格)

 

(1) プライスゾーンとプライスラインの明確化

 

リージョナルプロモーションの売価設定にあたっては、そのコーナー

全体のテーマ性にもとづいて売価を統一すべきである。

たとえば、「色白セレブ肌」「透明素肌美人」「ツヤめき肌」などの

テーマごとに、プライスゾーン(価格帯)を設定し、商品ごとの価格の

ばらつきを相対的に抑える。

ちなみに、小売業のビューティーコーナーは、商品と売価がまったく

不ぞろいで買いにくさが漂っている。

季節のリージョナブルプロモーション商品に関しては、プライスゾーン

(価格帯)とプライスラインを明確に設定すべきである。

 

(2) プライスポイントの設定

 

重要なのは、機能や容量などが同じような商品を選定することにこだわり、

1つの品種内で最高売価と最低売価の幅をできるだけ狭めたプライス

ゾーンを設定するとともに、プライスラインを少数に絞り込むことである。

いろいろな商品を集めれば、それだけプライスラインは増えていく。

経験則でいえば、1用途3品目ぐらいがちょうどよい。

 

「コーヒー」という品種にたとえれば、ブラックやカフェオレなどの

サブ品種(グルーピング)はできるだけ多く品ぞろえする。

だが、サブ品種ごとの品目数は3つまでとする。

そして、絞り込んだプライスラインのなかで、最も多く売上数量を見込む

商品の価格をプライスポイントとして強調し、お買い得感を訴求する。

つまり、プライスポイントとは、最も多く売りたい商品を対象として、

競争店よりも少しばかり安い売価(値ごろ感)を設定することである。

 

(3) 値ごろ価格の設定

 

季節を提案するリージョナブルプロモーションの実施にあたっては、

商品の価格が安すぎても高すぎても購買率に影響する。

提案する以上、売りたい商品を特定し、値ごろ感(プライスポイント)を

明確に打ち出す必要がある。しかし、こうした価格戦略を実施している

小売業を見かけることは稀である。

実際に、各店舗における季節プロモーション商品につけた売価をチェック

してみよう。仮に、あるカテゴリーにおける価格の上限と下限が明確で

なく、売りたい商品が値ごろ価格でなかったとすると、その小売業のプロ

モーションはおそらく成功しないだろう。

すなわち、最も安い価格をつけた1〜2つ程度の商品しか売れないという

ことである。

それほど価格戦略はプロモーションにおいて重要である。

プライスゾーンを狭めて、プライスポイントを明確にする努力を徹底して

行うだけでも、対象とするカテゴリーの売上は向上するだろう。

 

5. Promotion(販売促進)

 

(1) リージョナルプロモーションの実施期間

 

リージョナブルプロモーションは、展開の時期(タイミング)がポイントと

なる。すなわち、気温を重視してどこの小売店よりも早い時期に実施し、

そしてどこの小売店よりも早い時期に終了すべきである。

その独占期を逃したら、売上は半減すると思わなければならない。

 

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(2) 潜在需要を喚起する仕掛け

 

リージョナブルプロモーションの実施にあたっては、大型のパネルなどを

用いて、需要を創造することが大切である。

 

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ただ単に季節の商品を並べただけでは、新たな購買需要を創出することは

むずかしい。

 

(3) 顧客参加型のイベントミックス

 

季節の提案を行うリージョナブルプロモーションの実施にあたっては、

そのセオリーであるイベント型DM広告の活用を忘れてはならない。

季節商品の売場をつくっただけでは、新たな購買需要を創出し、計画どおりの

売上および利益を達成することはできない。

顧客が参加できる季節のイベントを必ずセットすることが重要である。

それがリージョナブルプロモーション実施上のセオリーである。

たとえば、7月〜8月ならば、みずに浸すと七夕のイラストが浮き出る葉書に

コピーし、粘着テープを貼って差し出す。

そのDMを持って顧客が来店したら、にきび用のクリームや制汗剤などが

入った景品をつかみ取りさせるような“わくわくイベント”に参加してもらう。

こうした顧客参加型イベントをセットすることが、季節のプロモーションには

欠かせない。また、買い上げた商品を顧客に継続的に購入してもらうために、

店独自のクーポンを進呈することも必要となる。

これらの展開によって、対象となるスキンケア商品を、次の来店時に定番

商品として、再び購入してもらえる確率が高まるのである。

 

<参考文献>

鈴木哲夫『売場づくりの知識』日本経済新聞出版社

『月刊販促会議』2013年8月号 宣伝会議

鈴木豊『マイクロマーケティング入門』PHP研究所

 

 

この続きは、次回に。

 

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