Coffee Blake-12月10日(木) 「人生100年時代」
日経新聞より、「東北大学-RIETI共催シンポジウム 人生100年時代の
サバイバル・ツール」の記事をご紹介致します。
ご参考になれば、幸いです。
2020.12.10
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美
東北大学-RIETI共催シンポジウム
人生100年時代のサバイバル・ツール
ニューノーマル時代における“ウルトラ高齢社会”のリスクとチャンス?
2018年日本の高齢化率は28%を超え、「ウルトラ高齢社会」に突入した。
人生100年時代を迎え、退職後の30年から40年間、病気やケガなどの健康
リスクや長生きに必要な資金リスクなど、さまざまなリスクに直面して
いる。こうした状況の下、どうやって生き抜くか、何らかの「武器」が
必要だ。
東北大学と経済産業研究所(RIETI)が共催で11月4日に「人生100年時代の
サバイバル・ツール」をWebで開催した。
[開会挨拶]
東北大学総長 大野英男氏
—省略—-
[基調講演]
高齢化社会における人材育成・教育政策と
社会(雇用・少子化対策・男女共同参画)
—ライフサイクル・デフィシットの観点から見た
持続可能な社会について—
RIETI客員研究員
シカゴ大学ラルフ・ルイス
記念特別社会学教授 山口一男氏
ライフサイクル・デフィシットとは、国民の年齢別とは、国民の年齢別の
「1人当たり消費」から「1人当たり勤労所得」を引いた数字に注目し、
そのサイクルを通じてバランスを考えることだ。
消費が勤労所得よりプラスであれば赤字、マイナスであれば黒字となり、
国民のウェルビーイングに直接関係する部分でのバランスを保つことで、
持続可能な社会をもたらす方法の一つと考えられている。
ライフサイクル・デフィシットの改善に有効な政策は4つ。
まず女性人材の活用の質と向上による60歳以上での女性活躍推進を図る
「閾値(いきち)改善」政策だ。
次に将来の社会保障負担軽減を、若年層への人的資本投資により達成する
「再分配から前分配への転換」政策である。
3つ目が、労働生産性の改善とそれに伴う賃金の増大による「黒字面積
拡大政策」。
日本は生産コストの削減と人件費抑制に関心が高いが、需要の掘り起こしに
よる市場拡大など、外部経済を通じた賃金拡大への発想転換が必要だ。
そして最後が「人口分布を変える政策」。
日本は過去30年、国民の平均賃金も平均的ウェルビーイングも劣化し、
赤字を将来のつけにして持続可能性を悪化させてきた。
この現状の打破には経済、政治、高等教育で多面的な社会改革を推し進める
リーダーの発揮が不可欠であり、ライフサイクル・デフィシットが重要な
指標になる。
[講演]①
超高齢社会下でのニューノーマル社会
—新型コロナウイルス禍の経済社会的総括—-
東北大学大学院
経済学研究科教授 吉田浩氏
いま我々は2つの衝撃からのサバイバル、「人生100年時代において最後
まで充実して生き残る」と「コロナ禍の中でウィズコロナ、アフターコロ
ナを生き残ること」が求められている。
100歳まで生きることを考えた場合、直面する課題は健康、経済、余暇の
3つだ。
コロナ禍で見えてきた課題を含め、新たな社会の構築が不可欠になる。
大学には、超少子化社会への対応、蓄積してきた技術の社会実装、そして
将来の課題からその解決を考える「和のバックキャスティング」が求め
られるだろう。
[講演]②
リカレント教育の可能性
—ニューノーマル時代の人材育成—-
東北大学名誉教授
仙台白百合女子大学特任教授 高橋 満氏
ニューノーマル(新常態)では、リカレント教育の必要性は一段と増す。
不確実で常に変化する社会では、価値観の転換がとても大事であり、
主体的・能動的に学習を続けられる人材の育成が欠かせない。
労働世界にとどまる時間が長期化することで、知識や技能の陳腐化も進む。
今後、教育で必要なことは知識を伝えることよりも、「学び方を学ぶ」
ことだ。大学教育も学習者の自主的な学習活動を見守り、必要に応じて
支援する「スキャフォールディングス(足場づくり)」の役割が大切になる。
[講演]③
人とのつながりが力になる
—ソーシャル・キャピタルを蓄えよう—
東北大学大学院文学研究科教授
京都先端科学大学人文学部学部長・教授 佐藤 嘉倫氏
人生100年時代において、高齢者がいきいきと過ごすには、人間関係や
信頼関係で構築される「ソーシャル・キャピタル」の蓄積が大切だ。
ソーシャル・キャピタルの多い高齢者は、主観的幸福感も高く、様々な
フレイル(虚弱)を防ぐ効果がある。
人間は急激な変化に弱いので、定年後のなだらかな人間関係の変化や、
高齢者が孤独にならない社会環境の整備などが不可欠だ。
ニューノーマル時代に合ったソーシャル・キャピタル、比較的異質な
人々からなるネットワークを蓄えていくべきだ。
[講演]④
高齢者の財産—日本法の特殊性—
東北大学名誉教授
白鴎大学法学部教授 水野紀子氏
—–省略—
【バネルディスカッション】
● 従来型の「貯めたお金で老後の生活を賄う」から「長く働く」への
転換が必要で、仕事のスキルや人的ネットワーク、良好な家族関係と
いった無形資産が重要である。
● パネルでは「人生100年時代に備え、我々は、企業は、政府は何を
なすべきか」について各人が意見を述べた。
・吉田氏は「長生きリテラシーを身につけること。
大学は1+1が3になる答えを生み出していく研究が求められる。
政府は社会保障1960年体制から脱却し、リテラシーに基づいて
自己防衛できる社会構築が必要」と主張。
・高橋氏は「社会をつくる、進歩させる活動に参加できる、そうした
社会的責任を自覚し、実現できる人材育成が欠かせない。
政府には教育にアクセスする機会を増やす役割を期待する」と話した。
・佐藤嘉倫氏は「退職後に社会から孤立しなうようソーシャル・キャ
ピタルを蓄積することがポイント。企業はそれを支援する柔軟な働
き方を構築してほしい。大学は地域社会と連携し、教員や学生と住
民をつなぐハブの役割が求められる」と指摘。
・水野氏は「日本は監視社会化し非常に生きにくい社会になってきて
いる。ソーシャル・キャピタルを構築し、群れによる育児を現代社
会に再現すべきだ」と語った。
・佐藤朋保氏(東洋経済新聞社 出版局編集第3部 部長・編集長)は
「まず心身の健康の確保が重要。その上で、人生の選択肢を残して
おくことが大切だ。学ぶ年齢が多様化しているので企業にも大学に
もその機会確保を期待したい」と述べた。
・最後に基調講演を行った山口氏が「元々人間は多様な才能が発揮で
きる社会こそサステナブルな社会」と加えた。
<参考資料>
● ウェルビーイング
「ウェルビーイング」(well-being)とは、身体的、精神的、社会的に
良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されることも
多い言葉です。1946年の世界保健機関(WHO)憲章の草案の中で、
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体
的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態
(well-being)にあることをいいます(日本WHO協会:訳)」と用いら
れています。企業としての経営の方向性や組織のあり方を考えるときに、
目安となる概念の一つといえます。
● 閾値(いきち)
1. ある反応を起こさせる、最低の刺激量。しきいち。
2. 生体の感覚に興奮を生じさせるために必要な刺激の最小値。
しきいち。
● バックキャスティング
現在から進むべき未来を考えるのではなく、「ありたい姿/あるべき
姿」から“いま”を考える思考法のこと。
● リカレント教育
リカレント教育とは、生涯にわたって教育と就労を交互に行うことを
勧める教育システムです。個人が変化し続ける社会に適応するためには、
生涯学び続けることが必要であると考えます。
近年働き方が多様化する日本でも注目を集めています。
● スキャフォールディングス
「スキャフォールディング(Scaffolding)」という言葉には、「足場かけ」と
いう意味があります。
勉強がわからなくなったときに「じゃあ、ここで辞書を引いてみようか」とか
「教科書のこの部分を読んでみようか」というように、問題解決のための
方法を示す(足場をかける)ことを言います。
「スキャフォールディング」の目的は、最終的に1人で問題解決できる力を
身につけさせること。足場を徐々に外していく(サポートすることを減
らしていく)ことで、子どもは次第に自力でゴールに到達できる力を身に
つけていきます。
そうやって習得した勉強法は、さまざまな教科の問題に応用できるため、
学力を底上げすることができるのです。
● ソーシャル・キャピタル
ソーシャル・キャピタル(英語: Social capital、社会関係資本)とは、
人々の協調行動が活発化することにより社会の効率性を高めることが
できるという考え方のもとで、社会の信頼関係、規範、ネットワークと
いった社会組織の重要性を説く概念である。
人間関係資本、社交資本、市民社会資本とも訳される。
また、直訳すると社会資本となるが、概念としては区別される(以下参照)。
基本的な定義としては、人々が持つ信頼関係や人間関係(社会的ネット
ワーク)のこと、と言って良い。上下関係の厳しい垂直的人間関係でなく、
平等主義的な、水平的人間関係を意味することが多い。
しかし、この語には実に多様な定義があり、以下のPortes (1998) の文献に
よれば、共同体や社会に関する全ての問題への、万能薬のように使われ
ている言葉だが、1990年代終わりからは学会外でも社会的に有名な語と
なった。
● フレイル
フレイルは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、「Frailty
(虚弱)」の日本語訳です。
健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が
見られる状態のことを指しますが、適切な治療や予防を行うことで要介
護状態に進まずにすむ可能性があります。
私は、「人生を如何に有意義(充実)に過ごす」かが、大事だと考えています。
人生100年時代と言っても、何が起こるかわからない世の中です。
現在を如何に有意義に過し、それも将来-人生を全うする時を見据えて。
私の場合は、定年退職後の人生設計を「起業・創業」と定めました。
自分と同世代の方々が目指す「人生設計」を支援することができれば、
「生き甲斐」や「働きがい」、「やり甲斐」につながると考えたからです。
まず大事なのは、「健康」です。
65歳以上の高齢者で、持病を持っている方には、「健康」が一番のテーマと
なります。体調が悪ければ、「何」にもなりません。
次に、「働く」ことに対し、「働き続ける」という気持ち・意志を持つ
ことです。「もう働くことはいいかな」とか「楽をしようかな」と思って
しまうと、気持ち的にも躁鬱や体調を崩してしまうのではないかと思います。
次に、「収入を得る」手段を考え、普段から「自己啓発」を心がけると
いう事です。
「収入=金銭」を得るためには、「金銭=対価=労働=知識」が伴います。
遊んでいても、収入を得ることは可能かもしれませんが、「社会貢献」と
位置づけ、「社会に役に立っている」という自覚や社会情勢にも精通でき
ます。また、更なる「自己啓発」にも繋がり、収入確保と収入拡大にも
繋がると考えます。
我々、高齢者(シニア層)の仕事も、これからはある程度限られてくると
思います。したがって、① これまでのキャリア–実務経験を生かし、仕事に
着く、② 趣味の延長線上での新たな仕事に着く、③興味のある 新たな
趣味を見つけてチャレンジしてみることからスタートして仕事に着く
等々で仕事を継続しながら、最終章として「起業・創業」に繋げる。
「定年のない生涯経営者」を目指すことも一つの選択肢と考えます。
何かご相談したいことがございましたら、ご遠慮なく当社「お問合せ」
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2020.12.10
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美