お問い合せ

書籍「すごい物流戦略」③ Amazon

第1章 アマゾンの物流戦略

 

■ 「世界最大のEC企業」はアマゾンの一側面に過ぎない

 

「アマゾン(アマゾン・ドット・コム)とは、いったい何者でしょうか」

そうした問いに対して、多くの人が「世界最大のEC(Electonic 

Commerce)企業でしょう」と答えると思います。

もちろんそれはそれで間違いではありませんが、アマゾンという企業の

一面でしかありません。

アマゾンの2017年度の売上げは1778億6600万ドル(日本円で約20兆円。

1ドル=110円換算)。その内訳は、9割が小売事業(=EC)で、残りの約1割

(約175億ドル)がクラウドコンピューティングのAWS(アマゾン・ウェブ・

サービス)事業が占めています。

これだけを見れば、「やっぱりEC企業じゃないか」と言うことになる

かもしれませんが、AWSはクラウドコンピューティングの世界では実は

シェアナンバーワンであり、アマゾンは世界最強のシステム会社でも

あるのです。また、営業利益を見ると、17年度は約41億ドル(日本円で

約4500億円)をあげていますが、その大半をAWSが稼ぎ出し、そこから

生み出される利益があるからこそ、いろいろなものへの投資も可能に

なっているわけです。

 

■ アマゾン初の航空貨物ハブ空港から見えてきたもの

 

アマゾンは、ミッションとビジョンの両方に「地球上で最も顧客第一主義の

会社」という言葉を掲げています。

物流を重視する同社であれば、陸上輸送(国内配送)にとどまらず、空も

海も駆使して(=グローバルでの商品輸送)、顧客のもとに、より早くより

効率よく、より高い品質で商品を届けることを第一にしていくでしょう。

 

■ 目先の利益より顧客の利便性向上を優先し、物流に積極投資

 

アマゾンに関していえば、目先の利益よりも顧客の利便性を重視した将来に

対する先行投資的な面が強く、そこからも「地球上で最も顧客第一主義の

会社」をミッションとするアマゾンの物流に対する考え方がみてとれると

思います。

 

■ 航空便のハブ空港周辺に物流センターを集中的に設置

 

アマゾンの物流センターは、当初、本拠地のある西海岸のワシントン州

シアトルだけでした。

そして、物流コストを下げ、サービスレベルを上げるために、ウォル

マートの上級ロジスティクス担当役員ジム・ライト氏を招へい。

ウォルマート流の物流体制を構築し、物流コストの引き下げ、物流の

効率化を進めていきました。

その結果が、2009年までの配送費比率の低下に現れていると思います。

ジム・ライト氏の描いた物流ネットワーク構想により、アマゾンは物流

拠点を全米に増やします。

まず、手はじめに、東海岸のデラウェア州に物流センターを設置しました。

広大なアメリカ大陸を東側と西側からはさむかたちで、宅配便を利用して

全米に配送するという方法をとりました。

次に、大消費地に近く、消費税率の低い州に多く物流センターを設置し

ました。コストの高い航空便ではなく、コストの低いトラック輸送を使い、

低コストを実現したのです。そして、大手宅配便事業者USPが航空便の

ハブとして利用している空港周辺にも物流センターを多く設置していき

ました。

米国の宅配便大手といえば、UPS(宅配便シェア49%)、FedEx(同32%)、

USPS(同19%)の3社です。宅配で、2B(対企業)を多く占めるFedExに対し、

UPSは2C(対一般消費者)の比率が高いのが特徴です。

UPSはケンタッキー州ルイビルにハブ空港を設けていたため、アマゾンは

ルイビルの周辺に多くの物流センターを設置しました。

大都市に夜間に送れる拠点のハブ空港までの距離を短く設定することで、

全米ユーザーに大量の荷物を早く届けることが可能になりました。

 

■ 宅配会社を分散化し、UPS依存から脱却

 

アマゾンはその売上げの拡大の歴史の中で、利用する宅配会社の数を

増やしてきています。

アマゾンのミッションの1つは「カスタマーセントリック」=「顧客中心

主義」です。購入したお客様に届けられないという事態に陥らないよう、

中長期の視点から運べるキャパシティを増やしてきました。

 

■ 一般人が自家用車で配送を行なう物流版ウーパー「アマゾンフレックス」

 

■ ラストワンマイルを手がける配送車の変化

 

■ アマゾン・ロッカーの失敗を生かし、「ザ・ハブ」を開始

 

■ 未来の顧客を育てる「アマゾン・キャンパス」

 

■ 「アマゾン・ゴー」を展開する真の狙いとは?

 

■「アマゾンフレッシュピックアップ」でグローサリー市場を奪いにくい

 

ところで、現在、アマゾンが展開するリアル店舗は「アマゾン・ゴー」

だけではありません。

「アマゾン・ゴー」とは違った狙いを持った2つの業態があります。

 

1つが「Amazon Fresh Pickup(アマゾンフレッシュピックアップ)で、

もう1つが「Amazon Books(アマゾンブックス)」です。

「アマゾンフレッシュピックアップ」は、生鮮宅配サービス、アマゾン

フレッシュで注文した商品の受け取り拠点として利用できる店舗です。

アマゾンフレッシュピックアップは、アマゾンフレッシュを補完する

サービスです。

 

■ ウォルマートとの戦いは今後どうなっていくか

 

■ リアル書店「アマゾンブックス」のPOPに価格が表示されていない理由

 

■ 宅配クライシスを、アマゾンはどう乗り切ったのか?

 

現在、プライムナウは7社の物流会社を地域宅配会社として育成し、

提供エリアを着実に広げています。

米国ではUSPから始まった総量規制を乗り切り、FedExとの取引拡大、

地域宅配会社の開拓、USPSとの取引、そして、新たな配送方法の構築に

努めてきたアマゾンですから、この宅配ショックを予見し、乗り切る手も

着実に打ったのです。

このように、アマゾンは、ロジスティックカンパニーだとジェフ・ベゾスが

いうように、ロジスティックへの投資を続けています。これによって、

アメリカ、日本、ヨーロッパだけでなく、多くの国の小売業界を制覇して

いくことでしょう。

 

 

 

この続きは、次回に。

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