お問い合せ

現代語訳「論語と算盤」⑦

□ 時期を待つ必要がある

 

いやしくも人として生まれ、特に青年時代において絶対に争いを避けようと

するような卑屈な根性しかないと、到底進歩したり成長したりする見込みは

ない。また社会を進歩させていくためにも、争いが必要なことはいうまでも

ないだろう。しかし、あえて争いを避けないのと同時に、チャンスが来るのを

気長に待つということも、世の中を渡っていくうえでは必要不可欠なことだ。

わたしは今日(こんにち)でももちろん、争うべきところは争いもするが、

人生の半分以上にわたる長い経験によって、少しばかり悟ったところがある。

なので若い時のように、争い事をあまり多くは起こさないようになったと

自分でも思う。

世の中のことは、「こうすれば必ずこうなるものだ」という原因と結果の

関係がある。ところがそれを無視して、すでにある事情が原因となって

ある結果を生じてしまっているのに、突然横からあらわれて形勢を変え

ようとし、いかに争ってみたところで、因果関係はすぐに断ち切ることが

できない。ある一定の時期に達するまでは、成り行きを変えることなど

人の力ではとてもできない、と思い至ったのだ。

人の世の中を渡っていくためには、成り行きを広く眺めつつ、気長にチャンスが

来るのを待つということも、決して忘れてはならない心がけである。

正しいことをねじ曲げようとする者、信じることを踏みつけにしようと

する者とは、何があってもこれと争わなければならない。

このことを若いみなさんに勧める一方で、わたしはまた気長にチャンスが

来るのを待つ忍耐もなければならないことを、ぜひ若いみなさんには考えて

もらいたいのである。

 

● 卑屈

「卑屈(ひくつ)」とは、「必要以上に自己評価を低くし、いじける様」

あるいは「意気地のない態度をとること」という意味です。

つまり、「どうせ私なんて…」という風に、自分自身を必要以上にさげすむ

ことが「卑屈」です。

「卑屈」の「卑」は、「卑しめる(いやしめる)」とも読み、「見下す・

軽蔑する」という意味を持ちます。

「卑屈」の「屈」には、「折れ曲がる・くじける」という意味があり、

この二つの漢字の意味から「自らを軽蔑・見下し、気持ちがくじけて

いる様」というニュアンスが伝わります。

 

● 因果関係

 

因果関係とは、

1. ある出来事が別の出来事を直接的に引き起こす関係のことです。

     読み方は「いんがかんけい」で、「因果性(いんがせい)」とも

      呼ばれます。

また相関関係とは、

1. ある出来事と別の出来事が同じタイミングで起こることで、読み方は

   「そうかんかんけい」です。

 

 

 

この続きは、次回に。

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