お問い合せ

田中角栄「上司の心得」2-㉒

呼ばれてもいないのに参列

 

田中の葬祭行事へのこうしたこだわりは、かって政敵だった社会党委員長の

河上丈太郎の葬儀に駆けつけたことでも証明される。

このとき、田中は呼ばれてもいないのに参列、雨の中、河上の野辺の送りに

2時間近く立ち尽くしたのだった。その姿を見た社会党議員の中からは、

「あいつは大した男だ」との声が出た。

対して、一方の田中は、「社会党とは与党と野党に分かれているが、

この国をよくしていきたいとの思いは同じだ。手を合わせて当然だろう」と

意に介さず、さり気なかった。

こうした姿勢も手伝って、田中は田中派という大組織を維持できたという

側面がある。田中を慕って、多くの人間が集まったということである。

組織の上に立つ者が、下の者の本音を見抜くには時間がかかる。

しかし、下の者は、上をじつによく見ているのである。

下、三日にして上を知る」との俚諺(りげん)が、それを証明している。

秘書を務めていた当時の早坂茂三が父親を亡くしたとき、田中はこう

言って早坂を北海道・函館市の実家の葬儀に送り出したものだった。

「男は親の葬儀を仕切って、初めて一人前だ。盛大な葬儀で親父さんを

送り出してやれ」「上司力」とは、こういうものである。世の「心理戦争」を

制するには、こうした言行が取れることも大きな要因となる。

読者諸賢においてはぜひ、こうした「上司力」を磨き、部下に慕われる

上司を目指していただきたいものである。

 

● 政敵

 

政治上で意見を対立させ、争っている相手。

 

● 与党と野党

 

「与党の語源」

 

与党の「与」とは、仲間になる、味方する、くみするという意味があり

ます。つまり、政権(内閣)の味方をする党というのが与党の語源です。

なので、政権を支持し、政権の味方をしてあげる党のことを、与党という

のです。

 

「野党の語源」

 

野党の「野」を使った言葉で「野に下る」という言葉があります。

これは、「官職をやめて、民間の生活にもどる」という意味です。

つまり、「野に下っている党。」ということで、政権を支持しない、

味方をしない党のことを、野党というのです。

 

・与党、野党の「党」とは、同じ考え方を持つ人たちが集まったもの

・与党とは、政権を支持し、政権の味方をしてあげる党のこと

・野党とは、政権を支持しない、味方をしない党のこと

・与党、野党の人たちが、働くのは国会

・国会で働く、与党、野党の人たちを国会議員という

・国会は、法案を提出し、法律をつくるところ

 

「与党と野党の違い」

 

もともと同じ国会議員の同じ意見を持つ人たちがあつまる「党」なのに、

どうして与党と野党に区別されてしまうのでしょうか。

 

「与党と野党はどうやって決まるのか」

 

いろんな政党があるのに、どうして与党と野党にわかれるのでしょうか。

それは、それぞれの党の国会議員の人数できまるのです。

国会では、いろんなものごとを決めるのに取る方法は、多数決なんです。

ですから、衆議院、で半分より多く国会議員が所属する政党が与党

なり、その他の党は野党となるのです。

 

「与党ができること」

 

与党には与党しかできないことがあります。

それはなんなのでしょうか。

 

「政府をつくることができる」

 

衆議院で解散が行われたり、4年の任期が終わり、総選挙が行われたあとに、

政府をつくるために、内閣総理大臣を選ばなくてはいけません。

内閣総理大臣も、多数決により選ばれます。

与党は自分たちの党首を、過半数の数の力で、内閣総理大臣の選出する

ことができます。つまり、政府をつくることができるのです。

政府は日本国民を幸せにするために、いろんな政策をうちだし、実践する

ことができます。この力のことを行政権といいます。

行政権は与党しか持てない力なのです。

 

「法案を可決し法律にする」

 

法案を提出することは、野党でもできます。

でも、法案を可決するためには、国会の過半数の国会議員の賛成が必要に

なります。ですから、過半数の国会議員がいる与党が反対すれば、法案を

可決することができないのです。逆に与党は、過半数の国会議員の賛成を

もって、法案を可決させ、法律にすることができます。

 

「衆議院の解散権」

 

日本国憲法第69条、第7条により、内閣総理大臣は、衆議院を解散する

ことができます。

内閣総理大臣は与党の党首ですから、この解散権も与党が握っている、

与党しかできないことの、ひとつなのです。

 

「予算案の作成」

 

日本国憲法第86条により、内閣は、国の予算をどういうふうにするのかを、

作成することができます。

内閣ができるということは、与党の意見を取り入れることができますから、

与党ができることの、ひとつになります。

 

「野党ができること」

 

それでは、与党に過半数を握られ、法案も可決することができない野党。

そんな野党にできることは、あるのでしょうか。

 

「内閣不信任案の提出」

 

内閣不信任案の提出とは、「今の内閣には、国のかじ取りを任せることは

できない。」と野党が決断した時に提出されるものです。

内閣不信任案が提出され、可決されたときにはどうなるのでしょうか。

それは、日本国憲法第69条により、内閣総理大臣は、内閣総辞職か衆議院

解散かのどちらかを選択しなくてはなりません。

しかし、実際には過半数の数を握る与党の反対で否決されることが多い

んです。

 

「野党の役割」

 

ここまで見てきたように、野党は法案を可決させることも、行政権を使う

こともできません。そんな野党に存在価値はあるのでしょうか。

 

「与党の暴走を防ぐ」

 

もし、与党しかなかったら、行政権と立法権を持っている与党は、自分

たちの思いどおりに国を動かそうとするかもしれません。

そこに、国民の意思や考えは入り込む余地がありません。

万が一、与党がそんな暴走をしようとしたときに、それを止めるのが野党の

役割なんです。

国会の内容は、密室で行われるものではありません。

テレビ中継もちゃんとあります。

国民は国会でどんな意見が話し合われているかを知る手段を持っています。

なので、与党が万が一にも暴走をしようとしたときには、野党は国民に

その暴走は間違っていると訴えかける役割があります。

与党の暴走に対し、そのかわりの案を出し、国会で議論をしなくてはいけ

ません。そして、国民に与党は間違った方向に国のかじ取りをしようと

していると、世論に訴えかけなくてはいけません。

与党議員といえども、次の選挙で落選すれば、国会議員の資格を失って

しまいます。

国民の世論を無視し続けることは、次の選挙で落選するかもしれないと

いうリスクがあるのです。

ですから、野党は与党の暴走を止める役割をになっているんです。

 

「与党を目指す」

 

野党がそれまでの与党にとってかわると、どうなるのでしょうか。

今まで与党に反対されてできなかった、自分たちの意見を実行に移す

ことができるようになります。多数決で受け入れられなかった、少数

意見であった、自分たちの政策を実践することができるのです。

ただ、与党に反対するだけではなく、確固たる信念をもって、政権与党を

目指すのも、野党の役割なのです。

 

「まとめ」

 

では、与党と野党の違いをまとめてみましょう。

ものすごく簡単に言うとこうなります。

与党は国を動かしていく政党。

野党は与党を監視し、次の与党を目指す政党。

与党も野党も国のことを考えて働いていることに違いはありません。

ですから、野党も選挙で過半数を取ることを目指しているんです。

 

与党とはどんな党なのか

 

・与党とは、政権を支持し、政権の味方をしてあげる党のこと

・政府をつくることができる

・法案を可決し法律にすることができる

・内閣総理大臣を選出することができる

・政策を実践することができる

・予算案を作成することができる

・衆議院を解散することができる

 (正確には与党が選出した内閣総理大臣)

 

野党とはどんな党なのか

 

・野党とは、政権を支持しない、味方をしない党のこと

・内閣不信任案を提出することができる

・与党を監視する役割がある

・次の与党を目指している

・与党の政策の代わりの案を出して、国会で議論する

・世論を味方にして、少数意見を認めさせようとする

 

● 下、三日にして上を知り、上、三年にして下知らず

 

会社などで部下に当たる人は、上司の力量を三日で見抜きます。

一方、多くの部下を抱える上司の立場の人は、三年経っても部下の本質を

理解できていないということを表した言葉です。

わたしは会社では部下の立場になることの方が多いので、下、三日にして

上を知る!の方に着目してみました。

相性の問題が含まれる部分はあるでしょうが、三日、仕事を一緒にすれば、

その人の価値観・ひらめ度合いなど、ある程度のことを自分なりに判断

していました。

見切りをつけた上司には深入りすることなく、業務上必要になる最低限の

関わりしか持ちませんでした。

一方、数少ない上の立場になったとき、数年一緒に仕事をしていたのにも

関わらず、相手から怒りの感情をもらうことがあったことを思いだしました。

が、怒りの感情をもらえた、過去の部下は、わたしのことを三日で見切りを

つけたのでなく、関わりを持ち続けてくれたから、彼の怒りを受け取る

ことができたことに気付いたのです。

つまり、部下から本気で関わってもらうためには、最初の三日間で見切りを

つけられないことが大切なんですね。

欧米の優秀なマネージャは、着任早々、自分の価値観を箇条書きで50個ほど

伝えるらしいです。

 

① 遅刻は、組織としての規律を乱すだけでなく、有限資源である時間を

     ムダにすることなので、絶対にしないこと!

② コミュニケーションの基本になる、挨拶を徹底すること

③ 相手の自尊心を傷つけるような発言は慎むこと  等々

 

こういう風に各マネージャが大切にしている価値観を明文化して、伝え

あえる組織は強固な結束力がありますね。

心理学では、予防のIメッセージと呼んでおり、不都合な状態にならない

ように注意喚起することを勧めています。

あなたの組織では、予防のIメッセージが十分になされていますか?

 

● 俚諺(りげん)

 

世間に言い伝えられてきたことわざ。

 

 

 

この続きは、次回に。

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