お問い合せ

実践するドラッカー[行動編] ⑫

A lesson from P.F.Drucker

 

∵決定なくして明日はない

 

未来を築くためにまず初めになすべきことは、明日何をなすかを決める

ことではなく、明日をつくるために今日何をなすかを決めることである。

『創造する経営者』—p.230


 

理想の未来に向かっててるべき行動は、三つあります。

 

第一に、理想の未来を実際に描くこと。

いつまでに何をするのか、という長期目標です。夢やビジョン、なりたい

自分あるべき組織の姿を、必ず文字や絵で表現します。

未来への架け橋を明確にするのです。

 

第二に、一歩踏み出すこと。

今日、具体的な決定を行わないかぎり、どんな行動も起こせません。

決めたとおりにいかないことはよくありますが、そのときは修正すれば

よいのです。

 

第三に、行動を検証すること。

決めたことを全力で実行に移すのはもちろんですが、一方で、完璧に

行えなかったからと悩み、足を止める必要はありません。

ドラッカー教授は「計画の達成は三割できれば上々」といいます。

未来に向かう出発点は、「いま、ここ」の一瞬しかありません。

意思決定を明日に延ばす行為は、明日の自分の死を意味します。

先が見えないからといって、逃げるわけにはいきません。

明日のために、今日なすべきことを決めるのです。

 

コラム 意思決定を避けるリスク

 

ドラッカー教授は『断絶の時代』の中で、若者は他人に操られることを

嫌がるが、それ以上に意思決定の責任を負うことを恐れている、と見抜き

ました。そして、意思決定を避けることが正しかった試しはないと言い

ます。たいていの人が、数年経ってからその間違いに気づき、失った時間の

大切さを嘆く羽目になるのです(ドラッカー教授は、失ったものが時間だけ

ならまだ幸運なほうだと述べていますが—–)。

操られるとは、他人の意思決定に従うことです。

成果を出す人は自分で自分を操る、つまり自分の責任で意思決定し、行動

しています。

意思決定を間違うことも、行動が不十分な時もありますが、失敗も含めて

結果はすべて自分のもの。最後は必ず成功するという信念があれば、途中の

失敗は貴重な体験であり、自分を磨き上げる絶好のチャンスなのです。

最初から挑戦を避け、意思決定から逃れる行為は、みすみすチャンスを

放棄しているようなものです。

ドラッカー教授の言葉に従って、機会を最大にすること、つまり、その

意思決定によって何を得ることができるかを考えてください。

 

● 羽目

 

(「破目」とも書く)成り行きから生じた困った状況。

「結局手伝わされる羽目になる」

 

 

この続きは、次回に。

トップへ戻る