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実践するドラッカー[行動編] ㉙

A lesson from P.F.Drucker

 

∵集中して学ぶ

 

やがて私は、一時に一つのことに集中して勉強するという自分なりの

方法を身につけた。(中略)

すでに六○年以上にわたって、一時に一つのテーマを勉強するという

方法を続けてきた。

『プロフェッショナルの条件』—p.101


 

ドラッカー青年が一九歳の頃、世界恐慌に遭遇しました。

見習いとして働いていた証券会社は潰れましたが、フランクフルト最大の

新聞社に記者の職を得ました。担当は金融と国際関係です。

しかし、経験の少ない身であり、「有能な記者として知らなければなら

ないことは、すべて知ろう」と決心しました。

夕刊紙だったため、働く時間は朝六時から午後二時一五分まで。

その後の時間を使って、国際関係、国際法、歴史、金融などを学び始め

ました。

以来六○年以上、ドラッカー教授は学び続けました。

短いもので三か月ほど、大きなテーマは二〜三年かけて学んだと言います。

生涯学んだテーマ数は六○を数えました。

手当たり次第学んでも、労力が分散し、成果に結びつきません。

集中して学ぶことで、ドラッカー教授はあのような卓越した領域に達する

ことができたのです。国際関係を皮切りに、経営、経済、統計、日本画

などで教鞭を執り、教えることでさらにその領域に精通していきました。

このエピソードは、一つずつ集中して取り組むことの大切さを私たちに

教えてくれます。集中して学び、独自性を産み出しながら、生涯にわたる

成長を目指しましょう。

 

A lesson from P.F.Drucker

 

∵学びのプロセスをつくる

 

学ぶことについて誰かの助けを必要とするようでは、終生学び続ける

ことはできない。(中略)

情報、確認、動機づけのすべてを、学ぶことのプロセスそのものの中に

組み込んでおく必要がある。

『断絶の時代』—p.345


 

人は育成されるものでもありません。

他者はサポートしてくれる以上の存在ではありません。

学びは自分自身で行うものです。

たとえ強制されても、疲れたり、反発したくなったりするだけです。

学習を導く方法について、ドラッカー教授は次のようにまとめています。

 

① 強み、得意、長所を見つけ出す。

② それらを伸ばすために、目標を設定し、計画を立てる。

③ 強みの発揮を阻む制約条件、弱み、不得意、欠点に関心を向ける。

④ 自ら方向付できるよう、成果からフィードバックを行う。

 

これらは学びのプロセスを考える際の大きなヒントとなります。

 

コラム 人から学ぶ、本から学ぶ

 

学びの方法の二大柱は、人から学ぶことと、本から学ぶことです。

 

師に出会う

 

「我以外皆我師也」。学校の教師のみならず、メンター、上司、先輩、

時には同僚や部下ということもあります。

ドラッカー教授は人生の早い時期にゾフィー先生とエルザ先生という

師を得て、抜き去りがたい影響を受けたといいます。

大学で教鞭を執ってからは退屈な講義をしないという戒めをもち続けました。

一九歳の頃就職した新聞社の編集長からは、定期的に検証と反省を行う

ことを、二四歳頃に就職した会社の経営者からは、新しい仕事が要求する

ものを考えることを学びました。

素晴らしい師に巡り会えれば、加速度的に成長することは間違いありません。

今まで出会った人や付き合いのある人を振り返ってください。

 

● 我以外皆我師也(われいがいみなしなり)

 

これは歴史小説家吉川英治の言葉です。

「宮本武蔵」や「新・平家物語」「三国志」などの著者です。

「自分以外のものはすべて私のである」という意味で、すべての人、

モノ、事に対して謙虚に学ぶ姿勢を伝えています。2021/03/31

 

—-本に出会う

 

学びの王道は、やはり本から学ぶことです。

ドラッカー教授もさまざまなテーマを勉強する過程で、人生を変えて

くれる本に出会っています。

一八歳の頃、ヴェルディが「ファルスタッフ」を作曲した経緯を読み、

目標とビジョンをもって行動する生き方を学びました。

その印象が鮮明なうちに、今度はアテネの彫刻家フェイディアスの物語と

出会い、完全を追い求めることを学んだのです。

三六歳で中世ヨーロッパをテーマに勉強していたときは、イエズス会の

修道士とカルヴァン派の牧師の習慣から、事前に期待を書きとめておく

ことの大切さを知りました。

ドラッカー教授がよくいうように、本の中にあるのは単なる情報であり、

実践を通して知識に変える必要があります。

価値ある本から価値ある気づきを得て、それを繰り返し実践することが

大切です。

 

 

この続きは、次回に。

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