Coffee Blake-令和3年12月3日(金)「再雇用、手取り急減の壁」
日経新聞-2021年(令和3年) 12月1日ネクストステージ「マネーの
まなび」で〝再雇用、手取り急減の壁〟のタイトルで、記事が
掲載されております。
前回の「代表のブログ」で〝再雇用で給与が1/3に減少〟の内容を
お伝え致しましたが、第二弾と思っていただければ幸いです。
それでは、記事をご紹介致します。
2021.12.3
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美
マネーのまなび
再雇用、手取り急減の壁
運用や貯蓄で資産確保
「定年後の再雇用の手取りの減り方が予想外に激しいことに驚き、
相談に来る人が多い」と話すのはファイナンシャルプランナーの
深田晶恵氏。
定年前に年収800万〜1000万円前後だった人が、再雇用後に毎月の
手取りベースでみて10万円台に激減する相談例も多いという。
手取り急減の仕組みを知るとともに、資金計画を早めに考えることが
大事だ。再雇用ではまず収入が大きく減ることが多い。
パーソル総合研究所が今年1月実施した調査では、「50%より下がった」が
最多で27.6%、「50%程度下がった」も22.5%を占めた。
日本労働組合総連合会の「連合・賃金レポート2021」によれば、60代
前半の所定内賃金は53業種中41業種で中央値は月に20万〜29万円だった。
重要なのは額面から税・社会保険料を差し引いた手取り。
定年前に年収800万円(うち賞与200万円で額面月収は50万円)の人が、
再雇用後に年収300万円(額面月収25万円)になる例をみよう。
手取り月収は定年前の約37万円から定年直後は約14万円へ急減する。
ただこの金額がずっと続くわけではなく、12月退職なら翌々年の6月から
20万円に戻る。手取りの急減と若干の回復の大きな要因は住民税。
税額は所得の10%が課税される「所得割」と、通常は年5000円の
均等割の合計だ。
所得税は収入源に連動して減るが、住民税は年末調整や確定申告で
決定した1〜12月の所得に翌年の6月以降課税される。
例えば今年12月に定年になった人は、来年の6月から23年の5月までは
高収入だった今年の所得に基づく住民税がかかる。
低くなった収入が住民税に反映されるのは23年の6月以降だ。
年金・健康・介護の各社会保険料は、月の収入を数万円ごとに区分した
標準報酬月額を基準に計算する。社会保険料の本人負担は報酬月額に対し
合計約15%だ。報酬月額の区分は「等級」と呼ばれ、基本給など固定的な
賃金の変動から3カ月の平均で報酬月額が2等級以上下がると「随時改定」
という仕組みで4カ月目に社会保険料も下がる。
ただし、その前は定年前の高収入に基づく社会保険料が手取りを圧迫する。
60歳以降に退職し継続して再雇用になる場合は、随時改定を待たずに、
収入の減少と同時に社会保険料を見直す「同日得喪」という仕組みもある。
ただ中小企業などを中心に制度を知らず、手続きをしない会社も多い。
社会保険労務士の漆原香奈恵氏は「社会保険料が下がると病気の際に
受給できる傷病手当金や将来の年金が若干減るなどデメリットも知った
うえで、早く保険料を下げたい場合、会社に相談するのも一案」と話す。
再雇用後の収入が60歳時点に比べて大きく下落すると一定の条件を満た
せば高年齢雇用継続給付を受けられる。給付の上限は再雇用後の収入が
61%以下になった場合で再雇用後の賃金の15%だ。
年収800万円から300万円への下落なら、再雇用後の月収25万円の15%で
月に3万7500円となる。税金や社会保険料はかからないので、定年後の
実際に使えるお金は、この金額を手取り月収に加えたものになる。
ただ高年齢雇用継続給付は25年4月から上限が10%に縮小、その後も
段階的な縮小や廃止が見込まれる。
手取りの急減で、住宅ローンなどを抱える家庭なら赤字状態になることも
多い。再雇用後の手取り水準を早めに把握し、預貯金や個人型確定拠出
年金(iDeCO、イデコ)、小額投資非課税制度(NISA)などで自己資金をなる
べく多く準備しておきたい。
支出削減や配偶者のパート収入による家計改善も重要。
「夫が大きな収入減を妻にきちんと告げ協力を求めるべきだ」と深田氏は
話す。メンツもあって妻に収入減を言えないまま多額の取り崩しを続け、
5年間で貯蓄を1000万円超減らした相談者もいたという。
手取り減を補うため企業型確定拠出年金(DC)やイデコを受給するなら
税負担を小さくするよう心掛けたい。一時金で受け取る場合は勤続・加入
年数に応じて増える非課税枠である退職所得控除は退職金との共通の枠だ。
「退職金との合計額が退職所得控除を上回れば超過分の半分が課税所得と
なる」(税理士の福田浩彦氏)
60代前半は企業型DCやイデコを年金で受給する際の非課税枠である公的
年金等控除が年に最低60万円ある。この枠を活用するのも税負担を抑え
ながら「手取り急減の壁」を乗り切るために有効だ。(編集委員 田村正之)
●●定年後再雇用による年収の減少割合●●
50%超 27.6%
50%程度 22.5%
40%程度 12.9%
30%程度 14.0%
20%程度 6.3%
10%程度 4.4%
その他※ 12.4%
(注)パーソル総合研究所の調査を基に作成。
※「ほとんど変わらなかった」「上がった」を含む。
四捨五入の関係で合計は100%にならない。
●●月収入の変化と試算例●●
時 期 額 面 手取り 高年齢雇用継続給付 合 計
定年前 50万円 約37万円 - 約37万
⬇️
定年後
3カ月間※1 25万 約14万※2 3万7500 約17万7500
定年後
4カ月〜※1 25万 約17万 3万7500 約20万7500
定年の
翌々年6月〜 25万 約20万 3万7500 約23万7500
(注)深田晶恵氏による概算。定年は12月と想定。
※1) 給与の支払い月などで時期が変動する場合もある。
※2) 社会保険料を見直す「同日得喪」の手続きをしない場合
●●給与の減少で社会保険料を見直す制度●●
随時改定 同日得喪
改定時期 支給額変更の月を含めて4カ月後 支給額変更の月
対象者 幅広く適用 60歳以上の退職雇用
条件 増減後3カ月間の標準報酬月額 等級の変化が1等級でも
適用
等級が2等級以上変わった場合
(注)標準報酬月額等級は社会保険料の金額を決める際の基準
● 所得割
所得割とは、市民の方がその能力(所得金額)に応じて納めていただく
税をいいます。税を算出する基準は、前年中の所得を基準として計算され
ます。このことから令和3年度の市民税は令和2年中の所得が基準となり
ます。
● 均等割
「均等割」とは一定以上の所得のある方に、広く均等にかかる税金です。
区内に住所を有しない方で、区内に事務所・事業所・家屋敷をお持ちの
場合は均等割額のみ課税されます。
● 標準報酬月額
標準報酬月額とは、社会保険料を計算しやすくするために報酬月額の
区分(等級)ごとに設定されている計算用の金額のことです。
この区分は、4月から6月の3ヶ月間の給与(通勤手当を含む)の支給額
平均に基づいて決定されます。 これを「定時決定」といいます。2021/10/20
● 同日得喪
「同日得喪」という言葉は、あまり聞きなれないと思いますが、「どうじつ
とくそう」と読みます。漢字から連想される通り、社会保険の資格取得と
資格喪失を「同日」に行う手続きです。
私は、定年までの約30年間は、経理・財務が専門でしたが、給与計算・
年末調整・社保加入・喪失手続き等々の総務業務も兼務しておりました
ので、記事内容については理解できます。
私は、現在、毎年「確定申告」をしております。
定年退職後、〝税金〟の支払については、〝しようがない〟と思います。
ついては、前回の「代表のブログ」でも私見を述べておりますが、
〝給与の減少〟〝手取り額の減少〟等々の具体的な対策は、〝副業・
兼業〟で対応する、ということです。
退職金の使い道もあると思いますし、預貯金にも余裕があると思います。
しかし、〝資産〟は、万が一のことを考え、極力、現状維持をお勧め
致します。
〝健康〟でさえあれば、働くことは可能です。
今一度、「代表のブログ」をチェックしてみて下さい。
2021.12.3
株式会社シニアイノベーション
代表取締役 齊藤 弘美