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「人を動かす人」になれ! ㉗

3章 叱り方、褒め方①—人を動かすこのノウハウ

 

30.成果をあげたら少し課題評価をしてその気にさせろ!

 

自信はしばしば本人の能力以上のパワーを引き出す原動力になることが

ある。では、部下に自信をつけさせるには、どうすればよいのか。

ズバリ、成果をあげたときに少し過大に評価してやることである。

特にこれはキャリアが浅いときほど効果が大きい。

このために、十数年前までわたしが行っていたのは次のような方法であった。

新入社員の営業マンが初受注したときに、わたしがその新人に同行して、

受注先にあいさつにいくのである。

「君はすごいねぇ。入社して五ヶ月で初受注か。これまでの最短記録や。

この調子で行くと恐ろしい新人が誕生するかも知れんなぁ」と道中の車や

電車のなかで受注できたことを一緒に喜び、かつ褒めちぎるのである。

だが、見え透いたお世辞やおべんちゃらなどは逆効果になる。

あくまでも事実に基づいた褒め方をすべきで、それがなければ「よかった、

よかった」を連発するだけでも充分だ。

道中で褒めちぎったこと、そして新入社員が社長を引き連れてきたという

ことで、受注先に着くころには、新入社員の背筋は伸び、あいさつの言葉

にも一段と力がこもっているのがわかる。

わたしがついて行ったので、先方も社長が出てこられる。

新入社員が普段はまず会えない受注先の社長と名刺交換ができるので、

少し得意気である。お礼をいってその会社を後にし、「メシでも食おうか。

今日は社長のオゴリや。好きなものを注文したらいい」と近くのレストラン

に入る。

最近は、とてもこんな時間はとれないので、褒めちぎりの手紙をファックス

で送ることで勘弁してもらっているが、この手紙を新入社員が何度も何度も

読み返している、と上司から報告が入ってくる。

部下に自信をつけさせるのに、あまりあれこれ余分なことを考える必要は

ない。部下が何か成果をあげたときに一緒に素直に喜び合い、ストレートに

褒めて評価をしてやればよいだけのことである。

一方、なかなか成果をあげられない部下なら筋道をつけてやるとか、

本人には内緒で根回しやサポートもすべきである。

しかし、部下に自信を持たせるのだから、自分の力で成果をあげたという

カタチにしなくてはいけない。

これを繰り返し繰り返しやっていく。人を動かそうと思うのであれば、

これぐらいの努力と工夫が最低限必要である。

 

● 筋道

 

1. 物事がそうなっているわけ。事の条理。道理。「―を立てて話す」

2. 物事を行うときの正しい順序。「―を踏んで事を進める」

 

 

 

この続きは、次回に。

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