お問い合せ

「人を動かす人」になれ! ㊿+26

81.組織を乱す考え、行いには毅然たる態度で臨め

 

数名の組織なら、リーダーが強力であれば一致団結することは可能だと

思うが、組織も二○名、三○名ともなると反対勢力や不満分子も出てくる。

仮に、三○名の組織に五名の反対勢力や不満分子がいたとしよう。

一般には残りの二五名という大多数を味方につけているのだから取るに

足らないこと、勝手にやらせておけばいいと考えがちだが、実際にはこの

五名を動かせるどうかで組織の成否が決まる。

なぜなら、これはガンと同じで徐々にではあるが、確実に組織を蝕んで

いくからだ。当初は五名であっても、やがては一○名になり、一五名に

なっていく。ガンを完治させるのに、早期発見、早期治療が最も有効で

あるように、組織のガンに対しても早期発見、早期治療を断行していか

ねばならない。

具体的には、そういう動きがあることをキャッチしたら、まずマンツー

マンで話し合うことが必要となる。「全体のチームワークを乱すような

行為が目立つように思うが、いったい何が原因なのか」と尋ねて、一人

一人の言い分に耳を傾ける。耳を傾ける姿勢は大事だが、個人的なわが

ままや不満、会社のポリシーや方針に背くものは、その理由を明らかして

「ダメだ」ときっぱり断言するなど毅然たる態度を示すことが重要である。

基本的な姿勢としては、もと通りのサヤに収めるように示す全エネルギーを

結集して説得にあたる。しかし、中途半端に妥協をしたり、表面だけを

取り繕って問題を先送りにすると将来に禍根を残すことになるので、

是々非々の立場を貫き通さなくてはいけない。

もう少しいえば、温情と冷酷のバランスなのである。

人は、温情だけでも冷酷だけでも動かない。

飛行機の主翼と同じで、一方の翼は温情、もう一方の翼は冷酷。

これでバランスをとらなければ失速して墜落してしまう。

最近もこんな話があった。

ある関連会社の幹部の一人に勝手な行動ばかりが目立ち、役員が手を

焼いているという。この幹部はとても優秀なことから、辞められると

困るので役員は温情だけで対応してきたようだった。そこでわたしは

彼を呼び、「上司の指示に従えないのなら、辞めてもらってもかまわない」

といい切った。すると、彼の態度は一変した。

組織内の反対勢力、不満分子に対して、最終的にはこうした断を下さねば

ならない場面も出てくる。組織全体のチームワークや連携プレーの重要性を

考えると、経営者やリーダーは必要なときには、ばっさりと切り捨てる

ことも躊躇すべきではない。

 

● 一致団結

 

多くの人が一つの目的のためにまとまること。

「―して困難に立ち向かう」

 

● 蝕(むしば)む

 

病気などで、からだや精神を少しずつ損なう。

「大気汚染が健康を―・む」「心が―・まれる」

 

● 断行

 

困難や反対を押しきって強い態度で実行すること。

「機構改革を―する」

 

● マン‐ツー‐マン(man-to-man)

 

一人に一人が対応すること。一対一。「―で指導する」

 

● 毅然

 

意志が強くしっかりしていて、物事に動じないさま。

「何を言われても―としている」「―たる態度を失わない」

 

● サヤに収める

 

「元のに納まる」という言葉の意味は、「仲の悪くなった者同士が、

昔のように仲のよい間柄に戻ることのたとえ。

男女の関係で用いられることが多い」「離縁した夫婦や、絶縁した者同士が、

以前の関係に戻ること」となります。2017/12/19

 

● 禍根

 

わざわいの起こるもとや原因。「―を残す」「―を断つ」

 

● 是々非々

 

《「荀子」修身の「是を是とし非を非とする、これを知といい、是を

非とし非を是とする、これを愚という」から》よいことはよい、悪い

ことは悪いと公平な立場で判断すること。「―主義」

 

● 躊躇

 

あれこれ迷って決心できないこと。ためらうこと。

「―なく断る」「行こうか行くまいか―する」

 

 

この続きは、次回に。

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