お問い合せ

ピーター・F・ドラッカー「経営者の条件」㉛

□ 時間の使い方を診断する

 

時間をどのように使っているかを知り、続いて時間の管理に取り組むには、

まず時間を記録する必要のあることは前から知られている。

肉体労働については、一九○○年頃に科学的管理法(サイエンティフィック・

マネジメント)によって時間の記録をとって以来知られている。

今日では、あらゆる国において、肉体労働の作業時間を測定している。

われわれは、時間の使い方がそれほど重要でない仕事、すなわち時間の

活用と浪費の違いが、主として能率とコストに関わる問題であるような

肉体労働にこの知識を適用してきた。しかし、今後重要な意味をもって

くる仕事であって、特に時間に関わる問題に対処しなければならなくなる

仕事、すなわち知識労働者の仕事については、まだこの知識を適用して

いない。知識労働においては時間の活用と浪費の違いは成果と業績に

直接現れる。

知識労働者が成果をあげるための第一歩は、実際の時間の使い方を記録

することである。

 

時間の記録の方法については気にする必要はない。自ら記録する人がいる。

前出の会社会長のように、秘書に記録してもらう人もいる。

大切なのは記録することである。記憶によってあとで記録するのではなく、

リアルタイムに記録することである。

 

時間の記録をとり、その結果を毎月見ていかなければならない。

最低でも年2回ほど、三、四週間記録をとる必要がある。

記録を見て日々のスケジュールを調整し、組み換えていかなければなら

ない。しかし半年も経てば、再び仕事に流されて些事に時間を浪費させ

られていることを知る。

時間の使い方は練習によって改善できる。だがたえず努力をしないかぎり、

仕事に流される。したがって次にくる一歩は体系的な時間の管理である。

時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、排除していくことである。

そのための方法は三つある。

 

 

この続きは、次回に。

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