ピーター・F・ドラッカー「経営者の条件」㉝
自分以外の者では処理できないことが何も起こらないという会議がある。
肝心の草案さえできていない段階で、単に資料について議論するために
何時間も使われるという会議がある。
研究所では、一流の物理学者が自分について一般向けのニュースリリースを
書くために何時間も使っている。しかし、その物理学者が高等数学でしか
説明できないものをわかりやすく書ける人たちは、まわりにたくさんいる。
すなわち成果をあげるべき者が行っている仕事の膨大な部分は、ほかの
人間によって十分行うことができる。
通常使われている意味での権限委譲は間違いであって人を誤らせる。
しかし自らが行うべき仕事を委譲するのではなく、自らが行うべき仕事に
取り組むために他の人にできることを任せることは、成果をあげるうえで
必要である。
時間管理のための第三の方法は、自らがコントロールし、自らが取り除く
ことのできる時間浪費の原因を排除することである。
人は、他人の時間まで浪費していることがある。
そのような時間の浪費が簡単にわかる微候はなくとも、発見のための簡単な
方法はある。聞くことである。
「あなたの仕事に貢献せず、ただ時間を浪費させるようなことを私は何か
しているか」と定期的に聞けばよい。答えを恐れることなくこのような
質問できることが、成果をあげる者の条件である。
もちろん自らが成果をあげるための仕事の仕方が、他の人の時間の大きな
浪費につながっているケースもある。
この続きは、次回に。