ピーター・F・ドラッカー「経営者の条件」㊿+32
新しいものに易しいものはない。新しいものは必ず問題にぶつかる。
したがって悪天候に入ったときに切り抜ける手だてを最初から講じて
おかなければ、失敗は必然である。
そして新しいものを難局から救う唯一の手だてが、仕事のできる人を
用意しておくことである。そのような人は常に忙しい。
いまの負担を軽くしてやらなければ新しい仕事を引き受けてはもらえない。
新しいもののために新しい人を雇うことは危険である。
すでに確立され順調に運営されている活動を拡張するには、新しいものは、
実績のある人、ベテランによって始めなければならない。
新しい仕事というものは、どこかで誰かがすでに行っていることであっても
すべて賭けである。したがって経験のある人ならば、門外漢を雇って新しい
仕事を担当させるなどという賭けを倍にするようなまねはしない。
よそで働いたときには天才に見えた人が、自分のところで働き始めて半年も
経たないうちに失敗してしまうという苦い経験を何度も味わっている。
組織には、違うものの見方の人を部外から入れてやる必要がある。
内部の力だけで成長しようとする組織は澱み、何も生み出せなくなる。
しかしリスクが大きなトップの地位や、新しい活動の責任者には、外部
からの人間をつけてはならない。外部の者はまず初めに、トップの次の
地位や明確で誤解のしようのない活動の責任者の地位につけるべきである。
● 必然
必ずそうなること。それよりほかになりようのないこと。また、そのさま。
「―の帰結」「なまけたのだから不合格は―だ」⇔蓋然 (がいぜん) /偶然。
● 門外漢
「門外漢」は特定の分野や領域の専門でない人を指す言葉で、読み方は
「もんがいかん」です。 ある分野や領域の知識が乏しい人や、専門家では
ない人を表します。 「漢」という男性を表す漢字が入っていますが、漢には
男性という意味だけではなく、人間という意味もあります。2021/11/28
この続きは、次回に。