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P・F・ドラッカー「創造する経営者」㊽

□ コストセンターを見つける

 

どこにコストセンターがあるか、コスト管理の価値のあるところはどこか。

わずかなコスト上の改善が総コストの大きな削減をもたらすのはどこか。

逆に、大きな改善が総コストにとってあまり意味がないのは、どこか。

ユニバーサル・プロダクツ社の例で見てみよう。

コストセンター別の分析の例は、表6の通りである。

もちろんこれは粗い数字である。しかしこれは、さらに分析すべきものを

明らかにするためのものである。

 

6|ユニバーサル・プロダクツ社のコスト構造

消費者の総支出                    100%

1 輸送費

     (1) 原材料・部品の輸送、工場内移動 6%

     (2) 製品の包装、搬出、輸送     6%         17%

     (3) 卸・小売業による輸送      5%

 

2 営業費および販促費(メーカー、卸・小売業)    8%

3 資金費(メーカー)—運転資金、利子、減価償却、設備保守含む 13%

4 資金費(卸・小売企業)                                       6%

5 生産費                          9%

6 原材料費                         25%

7 マネジメント費および事務費(メーカー、卸・小売企業)    10%

8 明日への投資—研究開発、市場開発、マネジメント育成費等  2%

9 法人税控除前利益(メーカー、卸・小売企業。                       10%

 ただし原材料仕入先の利益は不明)

※ 実際の分析では、上のそれぞれの数字が幅のある数字となる。

 

例えば、輸送費は17%ではなく、13〜19%などと示される。

財務分析の専門家からは、資金費は表6が示すよりもはるかに大きいと

指摘されるかもしれない。確かに利益として計上されるもののほとんどは

企業の存続に必要な資金である。そのような考えはもっともである。

その場合には資金費が最大のコストセンターとなる。

事業において、資金費は常に大きなコストセンターである。

しかもそれは削減が最も容易に行われ、最も大きな成果を得られるコスト

センターである。

 

例えば、資金の回転率を上げるより容易である。しかし、アメリカの企業が

資金の管理を重視するようになったのはごく最近のことである。

実のところ資金の管理という仕事が、トップマネジメントの誰かが責任を

もち、その下で誰かが専門的に働くべき重要なマネジメントの機能として

受け入れられたのは、ごく最近にすぎない。

しかもアメリカでは、資金という最も高価な原材料を最も有効に動かす

ための最も適切な財務構造というものについて、まだ誰も十分には検討

していない。その証拠にアメリカの企業は、金利的に見て、銀行からの

短期借り入れに頼るべきときに自己資金を使っている。

 

 

この続きは、次回に。

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