お問い合せ

「道をひらく」松下幸之助 ㊿+14

・追求する

 

月に向けてロケットを発射する。轟音とともにたちまち天空高く

とび立って、もはや人間の目にはとどかない。しかし追跡装置が

完備して、どこまでもこれを追う。何千キロ何万キロ、月の表面に

至るまで、刻々にこれを追う。追求する。

だからこそ、ロケット発射の意義がある。成果がある。追求しな

ければ何の意味もなし。射ちっ放し、消えっ放しでは、浪費以外の

何ものでもない。

人間社会の人間同士の間でもこれと同じこと。人が人に事を命じる。

指示する。頼む。しかし、命じっ放し、指示しっ放し、頼みっ放し

では、何の意味もない。何の成果もあがらない。

命じたからには、これを追求しなければならぬ。どこまでもトコ

トン追求しなければならぬ。それが命じた者の責任ある態度という

ものであろう。

追求される方も容易ではないが、追求する方もほんとうは大へん

である。ロケットを追跡する以上の配慮がいる。根気がいる。

しかし、ともすればあいまいにすごしがちな日々、追求する方も

される方も、おたがいにこれほどの覚悟を持ちたい。勇気を持ち

たい。

 

あなたはいま 何をもとめて日々努力し

日本はいま 何をめざして進んでいるのだろうか

ともに育ち ともに暮らしているこの国を愛し

日本人自身のすぐれた素質を大切に思うならば

政治家も経営者も 勤労者も家庭の主婦も

おたがい 他にのみ依存する安易な心をすてて

みずからが果たすべき責任にきびしく取り組もう

この国日本の 百年の計をあやまらないために

 

● 百年の計

 

遠い将来まで見通した計画。 百年先まで考慮に入れるほど遠望の

利いた計画との含意があり、そこに否定的ニュアンスは無い。

「百年の大計」はほぼ同義語。 「計」は「計画」、「大計」は

「大規模な計画」なので、字面では後者の規模が大きいことに

なるが、実際の用法で両者に違いは無い。

 

 

この続きは、次回に。

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