お問い合せ

「道をひらく」松下幸之助 ㊿+31

・わけ入れば

 

わけ入れば思わぬ道があるというのは、何も野や山の道のことだけで

はない。いままで、これが一番よいと思っていたものが、やがてもっと

よいものができてきて、だから前のものは古くなって、おたがいにさら

にゆたかな生活を楽しむことができるようになる。

こうしたことは、おたがいの日常の暮らしの上に刻々に見られること

であるけれど、それはたとえ自分が考え出さなくとも、多くの人びと

のなかの誰かが、もうこれでいいのだ、もうこれでおしまいだなどと

あきらめないで、もっとよい方法があるはずだ、もっとよい考えがある

はずだ、という真剣な思いで真剣な努力を重ねてきているからである。

長い人類の歴史は、時に曲折はあったとしても、こうしておおむね進歩

発展の一路を辿ってきた。今後もまたかぎりなく発展してゆくにちがい

ない。人間は本当は偉大なものなのである。

われわれもまた、この人間の歴史の一コマをになっている。

だからこそ、どんなことにも、もうこれでいいのだ、もうこれでおし

まいだ、などと安易に考えないで、わけ入れば思わぬ道もあるという

思いで、日々ひたすらな歩みをすすめてゆきたいと思うのである。

 

私たちは おたがい日本の国民であり

この国すすむべき道を みずから選び

決定する主権者自身であることを忘れずにいたい

日本はもちろん 世界の繁栄のために必要なこと

私たち国民の 平和と幸福について大切なことを

ひとつひとつ丹念に 正しく見きわめてゆこう

この国日本を 働きがいのある そして能率的な

真の民主主義の国にするために——

 

 

この続きは、次回に。

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