続「道をひらく」松下幸之助 ㉜
● 転機
今までの考え通りで、今までのやり方通りで、それで事がすむならば
よいけれど、天地は日に新たであり、人の営みもまた日に新たである。
だからほんとうは、昨日の考えは、きょうは一新されていなければな
らないし、きょうのやり方は、明日にはもう一変していなければなら
ない。
刻々に新しい考えを生み出し、刻々に新しいやり方で事に処していく。
それが自然の理法に則した生成発展への道というものであり、そこに
人間としての真の歓喜というものがある。
その歓喜が失われたとき、人の成長はとまり、社会の生成発展もとまる。
とまるだけならよいけれど、とまるということはジリジリと崩壊する
ということである。人にとっても社会にとっても、まさに危機と言え
よう。
今まで通りではいけないのである。今まで通りに安住してはいけない
のである。思いを一新しなければならぬ。やり方を一変しなければな
らぬ。日本も世界も、今日ただいまはそういうときなのである。
そういうきびしい転機に立っているのである。
危機とは転機の自覚のないことをいうのである。
この続きは、次回に。