お問い合せ

書籍「Effectuation エフェクチュエーション」 ㊴

インターミッション

 

ここからは、エフェクチュエーションを構成する5つの思考様式を使い、どのように

物事を捉えて行動していくのか、より具体的に説明します。

吉田満梨さんによる第1章から第8章は、エフェクチュエーションに入門的な解説とし

て現時点で最良のものと思えます。ではなぜ、第9章・第10章を加えるのでしょうか。

それは、ここまでの解説で、頭では理解するものの、いざ行動をするときに躊躇する

人たちが多いのではないかと考えたからです。

その理由は、大きな成果を成し遂げた企業の事例が多いため、読者はゴールや目的を

どうしてもイメージしてしまい、慣れ親しんだコーゼーションの思考に傾いてしまう

からです。もう1つは、エフェクチュエーションの5つの原則が1つずつ丁寧に説明され

てきましたが、5つの原則を連続的に解説する章も必要と思えたからです。

さて、ご挨拶が遅くなりましたが、私は、中村龍太と申します。フリーランス(個人事

業主)として起業しているエフェクチュエーションの実践者です。

また、クラウドサービスを手掛けているサイボウズ株式会社のエフェクチュエーション

の実践者でもあり、推進する経営幹部でもあります。

私とエフェクチュエーションとの出会いは、2019年の3月でした。サイボウズでの社内

の会議で、あるアプリ開発の企画に関して情報共有をしていたときのことです。突然、

社長の青野慶久さんから、「企画には、事業計画書を作らないやり方があるらしいよ」

と解説されました。私は「事業計画書を作らない」という言葉に、鋭く反応しました。

なぜなら、私の企業やフリーランスでの経験上、「新しい仕事をつくる」時には事業

計画書は作るものの、あまり重要視されてこなかったからです。たとえば、前職である

マイクロソフトで行ったマイクロソフト365(当時の名はBPOS)の流通チャネル開発が

そうでした。

その時の私の担当役員は、ヨーロッパで実績を上げたフランス人でした。彼は日本の

ソフトウェアの売上を上げるために着任しました。しかし、当時のマイクロソフトに

とってクラウドサービスは初めて取り組む事業で、彼も経験がありません。彼は私に

言いました。「私には、今回のサービスについては何も経験がない。とにかく動いて

みてくれ」。結果、新しいサブスクリプション(定期購読モデル)での流通チャネルを

立ち上げことに成功し、私はワールドワイドで素晴らしい成果を上げたビジネスデベ

ロップメントマネジャーとして表彰を受けることができたのです。

さっそく、吉田満梨さんが翻訳メンバーの1人である『エフェクチュエーション:市場

創造の実効理論』という本を読みました。まさに、私がやってきた新商品開発や新しい

仕組みづくりは、エフェクチュエーションだと腹落ちしたのです。

 

このような経緯で、私は現在、吉田満梨さんが大学院でエフェクチュエーションの講義

をするときに、その一部を実務経験者として担当しています。講義では、シンプルで

最軽量なフリーランスとしてだけでなく、上場企業であるサイボウズ内でのエフェク

チュエーションの実践を解説しています。それによって、コーゼーションのような解像

度に高い目的・ゴールを必要とせずに、自分自身の手持ちの手段から行動を始める学生

の姿を見てきました。

第9 章と第10章では、その大学院の講義でお話している内容を詳しく紹介していきます。

私が語ることによって、読者の皆さんが、より身近なものとしてエフェクチュエーショ

ンを追体験することができれば嬉しく思います。あるいは、皆さんがすでに実践をして

いる行為と気づく機会になるかもしれません


 

□ インターミッション(intermission)とは、演劇や映画などの公演・上映中に設けら

 れる「途中休憩」 を指します。一時的な活動の中断や休止全般を意味することも

 あります。

 

この続きは、次回に。

 

2026年2月11日

株式会社シニアイノベーション

代表取締役 齊藤 弘美

トップへ戻る