1分間ドラッカー 抜粋&感想⑧
第8章 「意志」の最終決定を誤らない言葉
71 何が正しいかを知らなければ、正しい妥協と間違った妥協を見分けることは
できない。
GM社長アルフレッド・スローンの言葉—
「何が正しいかを最初に教えてくれなければ、正しい妥協もできない」
「タマネギを持ってくる時は泥のついたまま、ありのままの姿で持って
こい」とは、リコー2代目社長・舘林三喜男氏の口癖だ。
決定においては「何が正しいか」をあらかじめ考えておく必要がある。
やがては妥協が必要である。その時、何が正しいかを知らなければ、
間違った妥協をすることになるからだ。何が受け入れやすいかという
観点からスタートしてはならない—-とドラッカーは言っている。
72 知識労働者は意志決定をしなければならない。
「上司にいわれたから」ではなく、自分の頭で考え、自分の責任で
行動することが必要であり、そうすることで成長できる。
仕事では自分の頭で考え、自分の責任で行動することが大切になる。
上司の指示がなければ何もできない単なる指示待ち族に明日はないだろう。
73 リーダーたることの要件は、リーダーシップを地位や特権ではなく責任と
見ることである。
真のリーダーは目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持
していく。同時に、「最終責任は私にある」として、失敗や、物事が
うまくいかないことを決して他人のせいにしない。
リーダーたることの要件は、地位や責任に目を向けることなのである。
74 仕事につけた者が成果をあげられなければ、人事を行った自分の間違いで
ある。
ドラッカーによると、間違った人事をされた人間をそのままにしておく
のは、温情ではなく、ただの意地悪だ。たとえば以前のポストに戻すか、
新しい仕事の中身を正しく理解させるといった方策をとることで、
人事はより効果的なものに変わる。
75 地位がいかに高くとも、権限に焦点を合わせる者は、自らが単に誰かの
部下である。
転職活動やスカウティングで「あなたは何ができますか」と聞かれた人が
自信満々で「○○部長ができます」と役職を口にしたというのは、よく聞く
笑い話だ。知りたいのは「これまで何をなしとげたのか」「これから何が
できるのか」なのだが、組織の中で出世を追ってきて、自慢できるのは
実績ではなく肩書だけだというのは悲しい現実である。
ドラッカーはいう。
「成果をあげるためには、貢献に焦点を合わせ、目標に目を向けることが
大切なのだが、 実際にはほとんどの人は成果ではなく、権限に焦点を
あわせる。「あなたは何をしていますか」という問いに「経理部長です」
「販売の責任者です」「部下が850人います」と答える人はたくさんいる
が、「お客が将来必要とする製品を考えています」「社長が行うことに
なる意思決定について準備しています」と具体的になすべきことを答える
人は、ごくまれだという。これでは本当の成果はあげられない。
貢献に焦点を合わせ、結果に責任を持つ者こそ、厳格な意味においてトップ
マネジメントだ– とドラッカーは断じている。
成果をあげるために大切なのは、「どのような貢献ができるか」を考える
ことだ。権限の大きさより、貢献の大きさによって人は価値ある存在と
なる。
76 好きなことをするために報酬を手にしているのではない。
「自分がやるべきと判断したことをやる」というリコー4代目社長・浜田広氏
の主張だ。「自分の好き嫌いや、得手不得手にかかわらず、人の役に立つ
こと、まわりに役に立つことを 努力しながらやってきた」というのが
浜田氏の歩みだという。
ドラッカーはいう。
大切なのは「やりたい」とか「やりたくない」ではない。「好き」か
「嫌い」かでもない。自分には何が求められているのか、自分は何を
なすべきかなのである。
77 「私は」といわずに、「我々は」と考え、「我々は」ということである。
成果を上げることは習慣であり、それは他の習慣と同様に身につける
ことができる—というのがドラッカーの主張だ。
ドラッカーの「成果をあげる八つの習慣」
① なされるべきことを考える。
② 組織のことを考える。
③ アクションプランを考える。
④ 意志決定を行う。
⑤ コミュニケーションを行う。
⑥ 機会に焦点を合わせる。
⑦ 会議の生産性をあげる。
⑧ 「私は」ではなく、「我々は」と考える。
「私は」ではなく、「我々は」と考える。
簡単に思えて案外難しい。しかし、それができてこそ尊敬され、
組織を率いて成果をあげられる。
この続きは、次回で。