企業とは何か-⑨
市民性を回復させる
・企業を強化するもの
□ 産業社会における機会の平等と市民性の実現こそ企業にとっての
利益だということである。
・社会的組織としての企業
□ 企業が社会の代表的組織であること、人間からなる組織であること、
秩序あるものとしての社会に関わるものであること、われわれの全員が
消費者、労働者、貯蓄者、市民としてその繁栄に利害を有することこそ、
われわれが学ぶべきもっとも重要な教訓である。
□ この企業という新しい社会的組織を効率よく機能させ、その経済的、社会的な
可能性を十分に発揮させ、その直面する経済的、社会的な問題の数々を解決
することこそ、われわれにとって最も緊急を要する課題であり、かつ最も
挑戦の価値のある機会である。
Part:Ⅳ
第Ⅳ部 産業社会の存在としての企業
第10章 企業の存続と社会の利益
社会の要求を満たすべき組織
□ 経済的に見れば、企業とは生産のための諸資源の集合体である。
いずれにせよ企業とは、社会のための道具であり、社会のための組織である。
したがって、社会は企業に対し、その存在理由である経済的機能を果たすこと
を要求しなければならない。これこそ企業に対する絶対の要求である。
企業が存続し機能するうえで必要とする絶対の要求と並ぶ絶対の要求である。
□ 企業と社会の関係を見ていくにあたっては、三つの視点が必要である。
第一に、企業の規模と社会の安定との関係である。
国内政策を左右するほどの規模の企業の存在は、社会にとってよいことか
悪いことか。そのような企業の存続と利益のための政策は、社会にとって
よいことか悪いことか。
第二に、企業経営と国民経済との関係である。すなわち、最少コストによる
最大生産と事業体としての成果との関係である。
第三に、自由企業体制、すなわち政治的に自由な存在としての、企業活動に
基盤を置き、利潤動機によって動かされ、競争市場によって規定されると
いう経済体制と雇用安定と拡大という政治的に今日最も重視されている社会
からの要求との関係である。
この続きは、次回に。