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新装版 こころの朝 ②

第1章      歴史に学べば、道が開ける

 

1 夢を持ち、夢を追うと、生きる力がわいてくる

 夢を掘り当てた人、シュリーマン①

 

 「少年時代の夢を、生涯かけて達成した人」といえば、ドイツの貧しい家に生まれた、シュリーマンである。

 

ハインリッヒ・シュリーマン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ハインリヒ・シュリーマン

ヨハン・ルートヴィヒ・ハインリヒ・ユリウス・シュリーマンドイツ語: Johann Ludwig Heinrich Julius Schliemann, 1822年1月6日1890年12月26日)は、ドイツ考古学者、実業家。幼少期に聞かされたギリシャ神話に登場する伝説の都市トロイアが実在すると考え、実際にそれを発掘によって実在していたものと証明した。

 

シュリーマンは、どのようにして、不可能を可能にしていったのだろうか。

まず、夢を持つこと。まさに、19歳までの人生は、不幸のどん底であった。そんな彼に、生きる力を与え続けたのは、「いつかは、あの輝かしい伝説の都、トロイを発掘したい」という夢であった。夢を持たなかったら、もう、とっくに自殺していたかもしれない。

 

2 目的が大きければ大きいほど、達成への苦労も大きくなる

 夢を掘り当てた人、シュリーマン②

 

生半可な苦労では、大目的を達成することはできない。

目的の大きさに比例して、努力精進しなければならないのは、人生の鉄則である。

彼は、目的を果たす手段として、商人になる決意をしたのである。外国語を身につけたほうが仕事に有利だと考え、収入の半分を学費に充てた。その努力の結果はめざましく、半年間で、英語の基本知識をすっかり身につけてしまったのである。次に、フランス語に挑戦した。これも同じ方法で、半年間でマスターしてしまう。記憶力は、次第に研ぎ澄まされ、オランダ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語の習得には6週間以上かからなかった。

3 「私の金儲けは、生涯をかけた大目的を達成する手段にすぎない」

  夢を掘り当てた人、シュリーマン③

 

シュリーマンは、木材から茶まで、あらゆる商品を扱い、次々と成功を収めていく。財産も、倍、倍、倍と増えていき、1年後には、ロシアの大商人として、その名を知られるようになった。シュリーマンは、語学習得に発揮したのと同じ勤勉さで、苦難を乗り越え、40歳を過ぎるころには、世界的な大富豪になっていた。

 彼の人生が、最も人々を感動させるのは、

「いよいよ、子供のときからいだき続けて来た理想を大々的に追求する時機がきた」と宣言し、清く、商売の清算に入ったことである。

 フランスの考古学を学んだあと、いよいよ発掘の準備に取りかかった。

トロイは、エーゲ海沿岸の、どこかにある。シュリーマンは、ギリシャの古典を研究し、ヒッサリクの丘に狙いを定め、私財を投じて、発掘を開始した。この時、49歳。幼い日に夢を抱いてから、42年後のことである。

2年かけた発掘作業で、3千年以上も前の、巨大な城壁、城門などが次々に姿を現してきた。

ついに、1人の男の、夢の力が、エーゲ海に未知の文明が存在したことを証明したのである。

シュリーマンの波乱の人生と発掘への情熱は、「夢を掘り当てた人」として、多くの物語や戯曲、オペラなどの題材となった。彼の死から100年以上たった現在でも、根強い人気を誇っている。

彼は、一生を振り返り、こう言っている。

「たしかに私の心は金に執着してきただろう。しかしそれは、私の生涯を賭けた大目的を成就するための手段と考えていたからにすぎない」

一生涯、ブレることのない目的を持つことができる人は、幸せである。

 

人の行く ウラに道あり 花の山

 

 

この続きは、次回に。

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