お問い合せ

知識ゼロからのイノベーション入門⑯

第7話 楽観的に考えよう。技術の進歩が不可能を可能にする。

 

・  正解は必ず見出せる

  グーグルのもう1つの特徴は、大いなる楽観主義だ。

  それは、技術の進歩に対する揺るぎない自信と、「解を見出せる」という

  大いなる自信から発している。

  たとえば、インテル創業者の1人、ゴードン・ムーアは、集積回路の能力は18ヶ月ごとに

  倍増するという「ムーアの法則」を唱えたが、ペイジはこれを「法則」ではなく、

  インテルの「決意表明」だと考えている。

  つまり、18ヶ月ごとに倍増させるという目標を掲げ、実際に態勢体制を整え、

  実現したと見るのだ。

  ペイジも、まず不可能と思える目標を掲げる。

  今は不可能と思えても、コンピュータが進化するし、グーグル自身も積極的に

  技術開発を進めるから、将来は可能になると考えるのだ。

  これがペイジの楽観主義である。

 

・  「世界図書館」は実現するか

  2002年、グーグルは大学図書館にある何百万冊もの本をデジタル化するプロジェクトを

  立ち上げ、各大学との交渉に入った。

  ミシガン大学は「1000年かかる」と言ったが、ペイジは「グーグルなら6年でできる」と

  言い切った。

  コストが膨大な上、やり方を間違えれば貴重な本が損傷してしまうが、グーグルは、

  これまでのどんなスキャニングよりやさしく本を扱う方法を提案した。

  ハードとソフトの組み合わせで貴重な図書を速く丁寧にデジタル化する方法を見つけていた。

  それでも、2004年に発表した1500万冊のデジタル化計画は普通に考えれば不可能だ。

  ただ、技術が進化すればできるかもしれないという夢は確実に与えてくれる。

 

第8話 少数より多数のほうが賢い。知恵を集める者が勝つ。

 

グーグルは「少数より多数のほうが賢い」と考える。

シュミットは、群衆の叡智の凄さを「私たちの誰1人として、私たち全員より賢いことはない」と

表現している。

イノベーションには、1人のカリスマが、優れたアイデアと指導力でぐいぐい引っ張っていくイメージがある。

だが、グーグルはたくさんの意見を取り入れ、みんなを巻き込んで一気にイノベーションを

加速させていく。

たとえばグーグルの携帯端末向けOS「アンドロイド」がそうだ。

グーグルは、開発に際して、アンドロイドをウィンドウズにはしないと考えた。

マイクロソフトは、ウィンドウズを自社で抱え込み、数年おきに新製品を出して莫大な

利益を得ている。しかし、それではウィンドウズはマイクロソフトのペースでしか進歩しない。

アンドロイドはOSを広く外部に無償で開放する。

有料にして儲けるよりも、多くの人に利用してもらったほうが進化は加速できるからだ。

2007年、グーグルはインテルやサムスンなど32社と「オープン・ハンドセット・アライアンス」を

設立、アンドロイドの開発、改良を進めた。

32社はどこも自由にグーグルの研究成果を無償利用できる。開発費が高騰する中で、

こうしたグーグルの方針に多くの企業が賛同したのは当然だった。

 

第9話 みんながアイデアを知り、育てるシステムを。

 

イノベーションが起きない企業は、アイデアがないのではなく、「アイデアを拾い上げる

システムがない」場合が多いようだ。

優れたアイデアも、誰も関心を示さず、協力しなければ、埋もれてしまう。

アラン・ユスタスは「イノベーションに失敗するのは、イノベーションが生まれてから

完成までのプロセスを整えようとしないからだ」と言っている。

 

グーグルのプロセス—ブレインストーミング・セッション

 

⚪️ プロジェクトやアイデアを車内の電子掲示板に投稿。

   社員全員が評価、意見の書き込みができる。

⚪️ 優れたプロジェクトには資金と人材が与えられる。

⚪️ グーグルニュースはトップの承認を得て、「フルタイム」のプロジェクトへ!

 

ある技術者はこう話している。

「グーグルには、心を元気づけてくれる環境がある。誰かが新しいアイデアを考えつくと、

たいがいみんな興奮して、ああでもない、こうでもないとひとしきり議論が続く」と。

 

この続きは、次回に。

 

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