お問い合せ

認知症にならないための 決定的予防法-84

本書ではホルモンや脳内の神経伝達物質の働き、血糖値の代謝の仕組みなどが、「ホルモンの

交響楽団」という単純明解な概念で説明されています。

 

血糖値を安定させることがなぜ重要なのかも、ストレスがある限りダイエットは成功しない理由も、

どうすればストレスにうまく対処できるのかも、本書を読めばよくおわかりいただけると思います。

 

四六時中呼びだされ、慢性ストレスをかかえている医師や弁護士、警察官などが、アルツハイマー病を

発症しやすいことも、著者は警告しています。

アルツハイマーにならないためには、毎日7時間から8時間の睡眠が必要だそうですが、

現代の日本人の睡眠時間は世界的には短いことがさまざまな調査から判明しています。

平日は5.6時間しか睡眠がとれない人など、ざらにいるのではないでしょうか?

睡眠の時間数だけではなく、質も重要です。

いびきをかく人は、睡眠時無呼吸になっている可能性があり、これもまたアルツハイマーを引き起こす

一因となるようです。

 

アルツハイマー病ではまず、短期記憶や記憶の想起に問題が生じます。

外界からの情報は海馬でふるいにかけられ、情動的な価値があるものや、すでに知っていることと

関連するものは保存され、そうでないものは捨てられていくのだそうです。

記憶はニューロン、つまり神経細胞の樹状突起に格納されていると考えられており、シナプスと

神経伝達物質によってその情報は伝わります。

ところが、アルツハイマー病では、ねばねばした老人斑がニューロンに蓄積し、内部には

もつれた神経原線維が詰まるため、まず伝達経路が失われ、やがてニューロンそのものが

破壊されてしまいます。

それでも、五感を通じて記憶されたものは、異なった多数の皮質領域に留められるので、一部の

ニューロンが失われても、連想による保護策がとれるのです。

「まだらボケ」になる理由は、このあたりにあるのかもしれません。

 

本書はアメリカの読者を対象に書かれたものであるため、食習慣や医療・保険制度などについて、

日本の読者には理解しにくい部分もあるかと思います。

医薬品・サプリメントに関しても、日本と事情が異なる場合がありますので、その点は

ご了承ください。

少しだけ補足すると、アメリカで10年以上、社会保障(ソーシャル・セキュリティ)税を払っていれば、

65歳以上になると公的な年金がもらえるようになり、高齢者用の医療保険メディケアで、

医療費が一部無料になります。

 

日本のような公的健康保険制度はなく、一般の人は民間の医療保険に加盟しています。

民間の保険は出来高払いのものが一般的でしたが、あまりにも高額になった医療費を抑える目的で、

1980年代末からマネージド・ケアというプランが主流になりました。

その代表的なものがHMO(健康維持機構)で、保険料は定額ですが、医療費、医療内容への

制約が大きいことが問題になっているようです。

 

ドクター・フォーテネイスのような神経学の医師を、英語ではneurologistと呼び、一般には

神経科医と訳されています。ただ、日本の病院では神経内科と呼ぶ慣習になっているため、

本書ではそれに合わせて神経内科医としました。

ちなみに、神経内科はおもに、脳のなかに病気の証拠が見つかるものを対象とする科で、

精神科は脳内に異常が見つかりにくい病気を扱います。

 

アルツハイマー病は、脳の神経細胞が徐々に死んでいく神経変性疾患なので、早期に正しい

診断を下すためには、神経内科が最も適しているのだそうです。

 

著者が本書を執筆した目的は、ベビーブーム世代(アメリカでは1946年から64年までに

生まれた世代)が定年を迎え、高齢者人口が爆発的に増える前に、少しでも多くの人が生活を

改善してアルツハイマー病の予防に努め、1日でも長く、自立した老後の生活を送れるように

助言することです。

一方、日本はとうにその割合に達し、2030年に高齢化率が20%になると予測されています。

睡眠不足に運動不足で、ストレスをかかえ、不健康な食生活を送ってきた私を含むこの世代が、

今のお年寄り以上の割合でアルツハイマーを発症する可能性は大いにあります。

予防策はできる限り早いうちから講じたほうが効果的なので、老後のことなどまだまだ先の話、と

思っている人たちこそ、本書をぜひ読んでいただきたいものです。

 

私はとりあえず、就寝時間を少しでも早めるために、「明日に延ばせることは今日やらない」方式に

切り替えることにしました。

皮なしの鶏肉は、あまりにもパサパサで食べにくので、皮付きの胸肉をグリルで焼いて脂肪を

落としています。

付録の体力テストをやってみたら、腕立て伏せが数回しかできなくなっていることに愕然とし、

トレーニングもすることにしました。

みなさんもどうぞ、一つでも多くの予防法を今日から実践してください。

 

巻末の「アルツハイマー予防食メニュー」と119ページのグリセミック指数の監修をしていただいた

濱田美里オフィスの松本真紀さん、貴重な本を訳す機会を与えてくださった河出書房新社の

木敏男さんには、心から感謝しております。

また、訳文をじつに丁寧にチェックしてくださり、訳者の至らぬ点を補い、間違いを正して

くださった校正者の方にも、この場を借りてお礼を申し上げます。

 

2010年2月                     東郷えりか

 

付録A アルツハイマー予防食の買い物リスト

 

※    詳細は、是非購読して下さい。

 

 

アルツハイマー予防食メニュー

 

 

※    詳細は、是非購読して下さい。

 

 

付録B ボディマス指数を知る

 

 

※    詳細は、是非購読して下さい。

 

 

付録C 体力テスト

  1. 腕立て伏せ最大回数テスト
  2. 1分間の腹筋運動テスト
  3. スクワット最大回数テスト

 

※    詳細は、是非購読して下さい。

 

参考文献と裏付づけとなる研究

 

※    詳細は、是非購読して下さい。

 

 

この続きは、次回に。

トップへ戻る