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池上彰のやさしい経営学 1しくみがわかる ⑲

[補足講義] 利潤率と株価の関係

利潤率が高いかどうかは、株価で見ることができます。

企業が儲かると、株価は上がっていきます。逆に言えば、その企業が儲かっているかどうか

判断するには、株価が上がっているかどうかを見ればいいことになります。

一般論としては、株価がどんどん上がり始めた企業は、利益が上がっている。

あるいは特定産業の企業の株価が同時に上がっていけば、その産業は将来有望で利益が上がる

ことがわかる。利子率より利潤率が高い事業に投資をしようと考えている経営者にとって、

株価は一つのサインになるということです。

 

流動性の罠とは?

このように世界の多くの中央銀行が、金利を下げて景気をよくするという方法をとりました。

ところが日本では1990年代にバブルがはじけたあと金利をどんどん下げ、ほとんどゼロという状態に

しても景気は回復しませんでした。ケインズはこれを「流動性の罠」と呼んでいます。

金利がほとんどゼロでお金を借りられて、流動性が高まったにもかかわらず、企業の投資が全然

伸びないのです。つまり、いまのままでは先行きが不安で将来に展望がないから、みんな

お金を使おうとしないのです。

いくら金利が低くても、お金を借りて新しく何かをしようとは考えません。

 

流動性の罠:利子率を下げても企業投資が増えず、中央銀行の金融緩和政策が効かなくなる状態のこと。

 

なぜ日本は流動性の罠に陥ったのか

日本はなぜ流動性の罠にはまってしまったのか。

きっかけはバブルの崩壊です。

日本の経済はすっかり元気がなくなり、新しい産業や技術が生まれなくなったのです。

新しい投資をしようという気が起きないまま景気が悪くなり、金利を下げても、やる気がない

という悪循環に陥ったんですね。

グローバル社会においては、流動性の罠によって国内だけではなく、違う国にお金が逃げるという

ことがあるのです。

 

景気の自動安定装置

資本主義経済が好況と不況を繰り返しても深刻な恐慌に陥らないで済むようになりました。

これを「ビルト・イン・スタビライザー」と言います。日本語に直すと、「自動安定化装置」です。

 

ビルト・イン・スタビライザー:自動安定化装置。好況と不況を繰り返す景気変動を、財政制度に

よって自動的に調節して経済を安定化させる機能のこと。

 

ニューディール政策:1933年3月、アメリカのルーズベルト大統領が次々と大型公共事業を行い、

約25%まで上がった失業率が14%程度まで下がったと言われている。

ケインズ理論を世界で初めて採り入れた例である。

 

ケインズ理論の副作用「インフレ」

 ※ 省略致します。

 

ケインズの誤算—増え続ける財政赤字

ケインズにしてみれば、政治家には理性と知性、教養があるから景気がよくなったら税収で

借金を返すものと思っていたのに、実際の政治家はそうではなかったのです。

こうして借金の返済は後回しになってしまう。財政赤字はどんどん増え続けていったのです。

 

乗数効果が小さくなり、ますます膨らむ日本の財政赤字

ケインズ政策によって、世界のさまざまな国の政治家が同じことを行い、どこの国も赤字財政に

悩むようになりました。その典型的な例が日本です。

日本はとてつもなく財政赤字が増えています。

 

欧米でのケインズ政策の行方

グリーン・ニューディール政策:2008年11月にオバマ大統領が打ち出した。

再生可能エネルギーに10年間で1500億ドルを投資、500万人の雇用創出策を推進した。

 

Q 復習問題 5

 

第1問  財政を安定させるためには「均衡財政政策」が望ましい。

 

              ⚪️ 均衡財政とは、財政支出と収入の釣り合いがとれているということ。

 

第2問  経済対策のためには乗数効果の高いものに投資することが望ましい。

 

               ⚪️ 乗数効果とは、投資によって新たな需要を生み出すこと。

                     効果が高いほうが景気がよくなる。

 

 第3問  景気を回復させるためには「貯蓄性向」を下げる必要がある。

 

                ⚪️ 貯蓄性向が下がれば、市場に回るお金が増えて景気は回復しやすくなる。

 

第4問   ケインズ理論の副作用として多くの国があらわれるようになった現象は、次のうち3つである。

 

                   1  インフレ

                   2  失業率の上昇

                   3  金融不安

 

                  × 正解は1の「インフレ」

 

 

 

この続きは、次回に。

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