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超ロジカル思考 「ひらめき力」を引き出す発想トレーニング 最終

Epilogue   情報化革命後の世界を生きる

新しいモノの見方を発見するためのさまざまなトレーニングに取り組んできたあなたにとって、

次のステップは、あなた自身の新しい世界観を見出すことである。

そこで、最終章では、あなたがこれから戦うことになる情報革命後の世界について概観しておきたい。

そのための題材として、私の属するヘイグループが米国フォーチュン誌と共同で実施している

「世界で最も賞賛される企業賞」のランキングを見てみよう。

これは、世界中の企業から、次のような9つの観点で最も優れた企業を経営者が互選し、年1回

ランキングを発表するものだ。

 

1.有能な人材を惹き付け、維持する能力

2.マネジメントの質

3.社会と環境に対する責任

4.革新性

5.製品あるいはサービスの質

6.経営資源の有効活用

7.財務状態の健全さ

8.長期的な投資価値

9.グローバルな事業展開

 

この「世界で最も賞賛される企業賞」に関して、2006年、2010年、2013年のトップ20の推移を

見たものが16である。

 

※   図16「世界で最も賞賛される企業賞」トップ20の推移。

      省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

2006年はリーマン・ショックが起こる前のもので、ゼネラル・エレクトリック(GE)、プロクター・

アンド・ギャンブル(P&G)、ジョンソン・エンド・ジョンソンといった、かつて一世を風靡した

企業が上位にランクインしている。ところが、リーマン・ショック後の2010年になると、アップル、

グーグル、アマゾンといった情報革命の波が生み出した企業がトップ10にランクインしてくる。

この時点でも、まだジョンソン&ジョンソンやP&Gはトップ10に踏みとどまり、産業革命が

拮抗しているじょうきょうが見て取れる。しかし、2013年になると、アップル、グーグル、アマゾンが

トップ3を独占し、GEやP&Gは11位以下に後退している。

ここに来て、産業革命から情報革命へのメインストリームの後退が起こったことがわかる。

 

底流にあるトレンドが変わると、ビジネスの前提条件自体が大きく変わっていく。

17は、先ほどの企業ランキングを、別の角度から見たものである。

ここでグレーの色を付けた企業は、電気・物理・機械・化学といった自然科学の分野の知見を強みと

しているのではなく、むしろ「人が何に喜びを感じるのか」を知っている企業であるといえる。

2006年から2013年まで、時代が新しくなるにつれて、「人が何に喜びを感じるのか」を知っている

企業が上位を占めるようになってきていることがわかる。

つまり、情報革命によって、自然科学における知見から、人間科学における知見へと、成功要因が

変化したのだ。あらゆる情報がインターネットに載せられ、瞬時に伝わるようになると、

自然科学における知見は半は公共財のようになる。

その結果、そこで差別化することが難しくなっていく。

その一方で、「人が何に喜びを感じるのか」といった人間の内面に関する知見は、検索しても

簡単には手は入らないため、逆に価値が高まっていく。

そこで勝負する企業が、情報革命後の世界において勝ち組になってきているのだ。

人に関する知見が強みに変わってくると、むしろ洞察力のある個人、つまり目利きにパワーが

シフトしていく。ブロガーが商品の評価に大きな影響力を及ぼすようになったり、大企業に変わって

ベンチャー起業家がイノベーションの先端を走るようになってきている。

もちろん個人ができることにはかぎりがある。

このため、様々な分野に特化した起業家がお互いに連携し合い、エコシステムを形成するように

なった。しかも、じょうほうが瞬時に伝達されることで、グローバルなエコシステムの形成が

可能になってきている。

 

※ 17 「人に喜びを与えること」で成功した企業

  省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

2006  1.ゼネラル・エレクトリック

       2.フェデラルエクスプレス

       3.サウスウエスト航空

 

2010 1.アップル

      2.グーグル

      3.バークシャー・ハサウェイ

 

2013 1.アップル

      2.グーグル

      3.アマゾン

 

図18は、世界中の情報通信産業の集積地(産業クラスター)を表したものだ。

その中でも中心的な役割を果たしているのが、米国の西海岸にあるシリコンバレーだ。

シリコンバレーは半導体や情報通信機器、インターネット関連ビジネスの世界的な集積地になっている。

ところが、シリコンバレーはそこたんどくで成り立っているわけではない。

 

※ 図18 世界の情報産業の集積地

  省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

インド—ソフトウェア、アウトソーシングビジネス→インド人脈

北欧—-携帯電話端末、基地局、モバイルインターネット

イスラエル—暗号、高速ネットワーク通信、無線通信→ユダヤ人脈

米国—半導体、情報通信機器、インターネット関連ビジネス

台湾—ハードウェア、半導体ファウンドリー→華僑人脈

 

このように、グローバルにネットワークを形成する産業クラスターの上で、起業家同士が連携

しあってエコシステムを形成するようになってきている。

ハード・ソフト・通信・コンテンツなど、あらゆる領域をカバーするビジネスモデルが求められる

時代においては、大企業といえども、もはや1社ですべての問題を解決することはできなくなっている。

問題の大きさが企業の器を超えてしまったのだ。このため、大企業よりもスピード感があって、

なおかつ幅広い技術領域をカバーできるシステム(勝ち組起業家連合)が、大企業に取って代わるように

なってきた。いまや、情報通信業界でビジネスをしていこうとすると、エコシステムの中に飛び込み、

ユダヤ人、インド人、華僑たちと渡り合っていかなければ、情報も入ってこないようになっている。

また、こうした変化は情報通信業界に限られたものではない。

情報革命はそれ以外のあらゆる業界にも迫っている。

「インターネット・オブ・シングス(IoT)」「オムニチャネル」「インダストリー4.0」

「ビッグデータ」などの言葉を聞いたことがあるだろう。

これらのキーワードは、情報通信技術が多くの業界のビジネスモデルを根底から変えつつあることを

示している。

 

以上述べてきたように、これからのビジネスマンが戦う環境は、産業革命から情報革命への転換、

自然科学から人間科学への強みの変換、大企業から個人へのパワーシフト、グローバルな

エコシステムの形成、情報通信技術を用いたビジネスモデルの変革、業界の垣根を超えた仁義なき

戦いといった形で、大きく変わりつつある。こうした未経験の環境の中で戦っていく上で、

従来までのモノの見方に囚われていては危険だ。

この本の中で紹介した11人の天才たちのように、自らのモノの見方を変えられるかどうかが、

サバイバルできるかどうかを分けることになる。それだはここから先は、あなた自身の新しい

世界観の発見に向けて旅立ってもらおう。

 

 

総括 いかがでしたか。

   私が読んでみて、参考になる箇所をピックアップして掲載致しましたが、

   是非興味のある方は、購読にお願い致します。

   これからのビジネスの参考になる書籍であると、推薦致します。

   次回は、『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』を

   掲載致します。

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