お問い合せ

ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学 ㉖

第12章  「世界がグローバル化した」「フラット化した」を疑え

 

第11章では「グローバル企業」に注目しましたが、ここでは広義の「グローバル化」に注目しましょう。

昨今メディアを見渡すと、どこもかしこも「グローバル化」という言葉にあふれています。

「フラットな世界」という表現もよく耳にします。

しかし、「グローバル企業」と同様に、「グローバル化」もその性格な定義や検証がないまま、印象論と

言葉だけが先行している気がするのは私だけでしょうか。

「グローバル」や「フラット」は、日本のビジネスパーソンの強迫観念になっている印象すらあります。

実は、海外の経営学(と経済学)では、「現在の世界は、我々が何となく思い込まれているグローバル化とは

かなり違う状況になっている」という事実が、次々に示されています。

本章では、特に三つの事実を紹介しましょう。

それは、「世界はほとんどグローバル化していない」「世界は狭くなっていない」「世界はフラット化

していない」の三つです。

 

✔️ 現実は「世界一国化」と「鎖国」の間にある

 

「完全にグローバルな状況とは、経済活動が何もかも一体化されることだから、それは世界がまるで

完全に一つの国になったかのような状態のことである」と定義しました。

この真逆になるのは「世界中の国々が全く経済交流をしない」、いわゆる鎖国状態です。すなわち、

グローバル化とはあくまで程度論であり、現在はこの「世界の完全な一国化」と「鎖国」を両極端とした

スペクトラム上のどこかにある。ということになります。

そしてゲマワットは、貿易、資本流出入、海外直接とうとなどあらゆるデータの傍証を持って、「世界の

現状は、いまだこのスペクトラム上の鎖国側に極めて近い状態にある」ことを示したのです(図表12-1)。

子細については論文を読んでいただくとして、ここでは中でもGDP(国内総生産)と貿易データを使った

説明を紹介しましょう。

 

図表12-1 「完全なグローバル化」と「鎖国」のスペクトラム

 

※   省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

✔️ 世界は、グローバル化していない

 

※   省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

もちろんこの論法には幾つかの強い仮定があるのですが、とはいえ、現実の世界が「完全なグローバル化」

からほど遠い状況にあることは明らかでしょう。

ゲマワットはこのような傍証の数々をもって、「世界はグローバル化しておらず、あくまでセミ・

グローバル化(中途半端なグローバル化)の状態にある」ことを明らかにしたのです。

 

図表12-2 各国GDPの世界総GDPに占める割合と、各国の輸入/需要比率の関係(200年)

 

※   省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

✔️ 世界は「狭く」なってきているか

 

第二の勘違いは、「世界は狭くなってきている」という通念です。

ビジネスにおける「狭さ」とは、国と国の間の「物理的な距離」が経済活動に及ぼす効果のことです。

「国と国の距離の壁を超えてビジネスはやりやすくなっている」と感じるからこそ、「世界が狭くなって

きた」という表現が使われるはずです。

 

※   省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

✔️ 世界は「狭く」なってはいない

 

先に述べたように、国家間の距離が貿易量に与える影響については、1970年代から多くの統計分析が

ありました。「これらの結果は、「技術の進歩により(距離による)『世界経済における国々の間の分断』が

減ってきている」と信じている人たちへの、挑戦的な結果と言えるだろう」(筆者意訳)。

 

※   省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

 

この続きは、次回に。

トップへ戻る