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シェア < 共有 > からビジネスを生みだす新戦略 ㉕

ヴァーチャルなコミュニティをリアルな世界で実現する

 

ウィコミューンやその他のご近所シェアのサイトは、ソーシャルネットワークでの行動が

現実の世界に少しずつ滲み出ていることを示している。

ヴァーチャルコミュニティがリアルの世界に押し出されてくる、いちばん代表的な例は、

カウチサーフィン、すなわち「旅行者と旅先の地域のコミュニティをつなぐグローバルな

ネットワーク」だろう。

 

カウチサーフィンのサービスは、「サーファー」を迎え入れるホストが充分に集まっていると

いう点で、クリティカル・マスに達している。しかし、それだけではなく、「文化が違う

人たちと意味のあるつながりを築くことができる」という、より深いメッセージを浸透したと

いえるほどに大きくなったという点でも、クリティカル・マスに達したと言える。

もちろん、規模が大きいことは、このサービスが安全で役に立つという、社会へのおすみつき

にもなる。

 

カウチサーフィンは、コラボ的ライフスタイルから生まれるちょっとしたつながりが、

人々を強くて結びつけているという、すばらしい事例だ。

 

コ・ワーキング、スキルシェア、物々交換、ソーシャルレンディング、コ・ハウジングと

まったく同じように、カウチサーフィンも古い価値観からヒントを得た新しいアイデアだ。

しかし、こうしたムーヴメントは、古臭い、手垢のついたやり方とは違うイメージがある。

みんなを結ぶ価値観—開放性、コミュニティ、アクセス、サステイナビリティ、そして

もっとも大切な、コラボレーション—が、デジタルな文化から生まれるからだ。

 

多くの場合、こうしたソリューションを魅力的につくり変えている差別化の要因はテクノロジーだ。

キーやロックやガレージの代わりに、スマートカードやGPSの位置情報が、カーシェアや

自転車シェアを未来の乗り物にし、洗練されたデザインと複雑なアルゴリズムがスワップ・

ドットコムを強力で効果的なサイトにし、コラボ的ライフスタイルは、古い価値観から

アイデアを得て、それを現代的なパラダイムにつくり直した。

 

コラボ消費のあらゆるモデルで社会資本は生みだされるが、モノ以外のニーズ(スキル、

時間、スペース )をシェアする時には、家族や隣人、友人、同僚、そして赤の他人とつながりが

できて絆が強まるので、社会資本が増幅される。

 

コラボ的ライフスタイルへの参加に必要なのは、「自分の中にある磁石の方向を少し変える

ことだ」と、ビル・マッキベンは『ディープエコノミー—声明を育む経済へ』の中で言う。

コラボ的ライフスタイルに必要なのは「ハイパー個人主義を少しだけ捨てて、その分だけ

ご近所づきあいをしてみること—-ほんのちょっとだけ個人主義をあきらめる(今は、それが

あり余っている)だけで、失っていた何かを取り戻せる」。

そして、孤立した生き方から、コミュニティ的な生き方に戻ってみるまでは、自分が何を

失っているのかわからないこともある。

 

   ※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

残念ながら、コラボ消費の未来を正確に描くデータはない。

それがどこまで大きく、広く、速く拡大するのかは、だれもわからない。

またそれは、目に見える始まりや終りがある科学的な発展でもない。

それでも、この社会経済的な現象が2015年までにどのような進化を遂げるのか、また、

どんなビジネスチャンスがそこにあるのかを示すような、きわだった特徴と成長のトレンドを、

私たちはみることができる。

 

以降の第三部では、コラボ消費が、人、モノ、サービス、そして企業に与える影響を知る上で、

カギとなる疑問に答える。

コラボ消費は、けっしてアンチビジネスでも、アンチ商品でも、アンチ消費者でもない。

人々はこれからも「買い物」をし、企業はこれからも何かを「売る」だろう。しかし、

どう消費するか、そして何を消費するかは変化してゆく。

モノや所有がアイデンティティと幸福を左右するハイパー個人主義の文化から、資源の

共有とコラボ的なマインドセットに基づいた社会へと移るにつれて、消費主義を支える柱–

–デザイン、ブランド、消費者心理—-も変わるだろう。

もちろんいい方向に。

 

 

 

この続きは、次回に。

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