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シェア < 共有 > からビジネスを生みだす新戦略 ㉖

パート3  何が起こるか?

 

第八章 コラボ・デザイン

 

プロダクト=サービス・システム、再分配市場、コラボ的ライフスタイルとは、つまるところ、

脱物質化であり、製品を減らしてリユースすることであり、モノではなくコト、たとえば

グループへの参加といったことから充実感を得ようとするものだからだ。

けれど、実際のところ、ビクシーの自転車から、インターフェイス・カーペット、スワップ・

ドットコムから、スレッドアップにいたるまで、デザインはこれまでにない重要だし、

デザイナーの役割は、いくつもの分野にまたがるまでに拡がっている。デザインとは、

色とりどりのロゴ、製品のかっこよさではなく、見映えのいいエコ製品や、モダンな車体の

ハイブリッド車をつくること以上のものだ。

今でもデザインは、私たちの日々の行動を決め、空間を構成しなおし、消費欲求に影響を

与えつづけている。ただし、それはもはや物質主義や大量生産とは別の形でだ。

 

デザイナーは、消費者や企業のニーズと、社会全体の利益の間の健全なパランスを見つけるという

役目を担っているのだ。

 

  ※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

環境意識の高まりや、消費者が企業にモノではなく経験を求めるようになったことがネット

ワークの時代とマッチして、デザイン業界のリーダーたちが言うように、デザインは「創造」から

「思考」へと大きく飛躍した。

デザイン的思考とは、人為的な創造のプロセスを、システムや経験を使うことで、一つひとつ

別々の製品についてではなく、もっと大きな問題の解決に応用すると言う意味だ。

 

 

最初にシステムをつくる

 

デザイン的思考とコラボ消費には多くの接点がある。

まず、デザインは、モノをつくるよりもファシリテーション[協働促進。物事を容易に、

円滑にすること]により力を注ぐようになるので、消費することから参加にすることへの

移行が起こる。

 

数々のイノベーションを生みだしている先端デザイン企業IDEOのCEO、ティム・ブラウンが

言うように、「消費者は、おとなしい受け手から、積極的な参加者になりつつある」。

 

デザインをこのように捉えると、デザイナーの役割は、モノそのものよりも人間の経験を

第一に考えることだと言える。

 

   ※ 省略致しますので、購読にてお願い致します。

 

エジオ・マンジーニはミラノ工科大学の工業デザインの教授で、サステイナビリティのための

戦略的デザインの考え方をリードする人物だ。

彼は、デザインのプロセス、つまり彼がコラボ的サービスシステムと呼ぶものを四つの重要な

デザインの要素に分ける。それは、利用の円滑さ、サービスの複製可能性、アクセスの多様性、

そしてコミュニケーションの強化だ。

 

リレーライズとブロックチョークは、マンジーニの言う「利用の円滑さ」、つまり、利用の

障害になるものを取り除くことで、ソリューションを魅力的にし、サービスを切れ目なく

ひとつにつなげた例だ。

 

カーシェアや自転車シェアのシステムが世界中に拡がっているのは、どんな環境でも、

たとえばアメリカの大学でも、ヨーロッパの小さな街でも、アジアでも南アフリカでも、

それほどやり方を変えずにこのサービスを複製して提供できるからだ。

それは、サービスを複製しやすいシステムのデザイン(簡単な手続き、認証カード、GPSによる

位置確認、自動料金請求など )があるからだ。そして、これらのシステムを改良し、より多くの

ユーザーメリットを組み入れるような継続的なデザインのイノベーションが、さらにサービスの

魅力を高める。

 

マンジーニの三つ目の重要なデザイン要素、アクセスの多様性は、デザイナーがコラボ消費を

盛り上げることを助ける、もうひとつの方法だ。

アクセスの多様性とは、ユーザーがさまざまな方法でひとつのシステムに入ることができて、

どのやり方でも同じような結果を得られることだとマンジーニは言う。

 

マンジーニのデザイン的思考の四つ目の要素は、「コミュニケーションの強化」だ。

ニーズを満たすために必要なリソースの多くが—–実際の物から人手まで—私たちの手の中に

あることが、コラボ消費のパワーのひとつの源泉だ。

私たちに必要なのは、こうしたリソースをコーディネートすることで、つまりは価値を

引き出すことだ。

 

マンジーニの原則が示すように、デザイナーたちは、製品やサービスが使われる「システム」

—サービスを利用する環境が生まれる、あらゆる物理的、文化的なインターフェイス—について、

もっと深く考えるべきで。

システムデザインがこれまでになく重要になることは間違いないが、それでも、コラボ消費の

中でモノがなくなることはない。それがシェアされる自転車であれ、おもちゃであれ、

自動車であれ、ハンドブックであれ、または簡単な解体できる家具や調度品といった、

消費者から企業に戻せるものであれ、デザイナーはこの先もモノをつくりつづけるだろう。

では、理想的なコラボ消費の製品にはどんな特徴があるだろう?

 

 

 

この続きは、次回に。

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