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危機の時代 ジム・ロジャース ㉔

・グーグルとアマゾンが支えるスイスフラン

 

一方、EUに加盟する多くのヨーロッパ大陸の国々も苦悩している。

優等生とされてきたドイツでさえ、借金が膨らみ、金融システムに問題を

抱えている。スイスでさえもそうだ。

私が若い頃、スイスフランは健全な通貨の象徴だった。

それは金に支えられており、誠実さと優れた頭脳に支えられていた。

現在、スイスフランはグーグルとアマゾンに支えられている。

 

スイスの中央銀行は大量の米国株を購入した。

グーグル、アマゾン、マイクロソフトなどだ。

スイスの中央銀行は、米国のITの巨人たちの株を買っている(編集注:スイスの

中央銀行は、2019年時点で2507銘柄、約912億ドル=約10兆円の米国株を

保有していると報じられており、保有額上位にはこれらのIT企業が名を

連ねている。中央銀行が個別株を買うのは珍しく、その動きが関心を集めて

いた)。だから、スイスフランは、株式市場に危機が到来すると大変な

ことになる。

スイスフランがアマゾンに支えられているというのは驚くべきことだ。

 

誤解しないでほしいが、アマゾンは間違いなく良い会社だ。

ただ私が指摘したいのは、アマゾンの株を保有するリスクだ。

株式市場は常に崩壊するものである。

欧州で最も健全な国々さえも経済に様々な問題を抱えるようになった。

スイスの中央銀行ですら、FANG(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、

グーグル)と呼ばれる米IT企業の株に投資する時代だ。

かつて最も健全であるとされた国でさえも地獄に向かっているのは間違いない。

ドイツにも銀行などの問題が山積している。

もちろん、イタリア、ポルトガル、スペインなど、その他の欧州の主要国も

軒並み申告な問題を抱えている。

 

・世界経済の重心は東へと動いていく

 

世界経済の重心は東へと動いていくだろう。

 

私は中国とロシアに注目している。

驚異的な埋蔵量の天然資源を持っているからだ。

人口も多く、群を抜く規模の軍事力も保有している。

両国は東側世界に属しており、私はこの体制が特に好きなわけではない。

それでも、私は地図を読むことができる米国人で、ロシアには巨大な

天然資源があることが分かっている。

中国の広大な国土と、巨大な人口と優秀な頭脳にも気づいている。

くり返しになるが、1919年の英国は世界で唯一の支配的な国だった。

2番目の国は存在しなかった。しかし2019年の英国は、たとえ崩壊して

いなくてもずっと衰退し続けていた。

米国が経済的に世界のトップであることは明白だ。

 

歴史を振り返ってほしい。1819年にオーストラリア帝国は非常に強力な

国家だった。1619年のスペインは、同国の王がポルトガル王も兼ね、世界中の

植民地を支配していた。

かつてスペインは世界で最も豊かで最も素晴らしい国だった。

彼らは世界中を航海しており、アメリカ大陸を発見した。

彼らは世界の地理を変えた。そのような変化は、世界の歴史においてあまり

起こらないが、スペイン人とポルトガル人は世界の果てまで航海して、

世界の地理を変えた。

今、世界のほとんどの人はポルトガルについてあまり知らない。

しかし16世紀はポルトガルが繁栄していた。

ポルトガル人は陽気で金持ちで大成功していた。

スペイン人もそうだった。両国は世界中に植民地を広げて、多くの国々を

占領し、支配した。今でもアルゼンチンやペルーの人々がスペイン語を話し、

ブラジル人がポルトガル語を話すのはそのなごりだ。

彼らは日本語を話さず、スペイン語やポルトガル語を話す。

これが歴史の必然だ。

好むと好まざるとにかかわらず、これが世界の仕組みである。

だから、米国の繁栄はピークに達し、衰退していくだろう。

 

誰かがそれに取って代わる。それは中国になると私は思っている。

もちろん100年後には、またどこか別の国が覇権を握っているだろう。

200年後にも、また違う国が繁栄しているだろう。

栄える国は時代によって異なるものだ。

欧州諸国は、コンパスを使って航海することを学び、世界を支配するように

なった。彼らは帆船に乗り、銃を持って世界中の国々に現れて言った。

「あなたの国は、今から私たちのものになる」。

誰もがノーと言ったが、力には逆らえなかった。

 

・一党独裁でも繁栄する国は多い

 

欧米には、一党独裁の国は成功しないという誤解がある。

しかし日本は太平洋戦争後の70年以上にわたり、事実上の一党独裁だった。

私は一党独裁がベストだと言うつもりはないが、日本のように成功している

ケースがある。もちろん独裁が失敗するケースは少なくない。

アフリカのコンゴはかつて独裁政権だったが、トップが愚か者で、経済は

長年にわたって不振を極めた。

一方、リー・クアンユーが率いていたシンガポールも一党独裁だったが、

トップが聡明だったので大成功を収めた。独裁という政治体制であっても、

リーダーが優れた人物であれば、シンガポールのように成功し、そうで

なければコンゴのような災害が起きかねない。

 

中国は伝統的に偉大な資本主義の国だった。

共産党が政権を握った1949年から経済の自由化が始まる直前の1991年までの

間だけが例外だ。中国は共産主義の国になってから、経済が成長しなくなり、

停滞が続いた。しかし中国は一党独裁の共産主義体制を維持しながら、

経済の自由化を進めて、躍進した。

中国人は共産主義者だが、今では世界最高の資本家でもある。

 

ロシアも投資家にとって魅力的な国だ。

ロシアが抱える債務の比率は低く、巨大な天然資源もある。

ロシアはチャンスが大きい国だ。

今、米国とその同盟国はロシアに制裁をかけている。

化学・生物兵器の使用国として非難し、政府や組織、個人を対象とする

さまざまな制裁を課してきた。

 

 

この続きは、次回に。

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