完訳 7つの習慣-人格の回復-14
効果性の定義
「7つの習慣」は、効果性を高めるための習慣である。
個人の人格の土台となる習慣であり、問題を効果的に解決し、機会を最大限に生かし、成長の螺旋を昇っていくプロセスで他の原則を継続的に学び、生活に取り入れていくための正しい地図(パラダイム)の中心点を与えてくれる。
これらが効果性を高める習慣であるのは、自然の法則に従った効果性のパラダイムに基づいているからである。
私はこれを「P/PCバランス」と呼んでいるが、多くの人が自然の法則に反して行動しているのではないだろうか。
自然の法則に反するとどうなるか、『ガチョウと黄金の卵』というイソップの寓話で考えてみよう。
『ガチョウと黄金の卵』
貧しい農夫がある日、飼っていたガチョウの巣の中にキラキラと輝く黄金の卵を見つけた。
最初は誰かのいたずらに違いないと思い、捨てようとしたが、思い直して市場に持っていくことにした。
すると卵は本物の純金だった。
農夫はこの幸運が信じられなかった。
翌日も同じことが起き、ますます驚いた。
農夫は、来る日も来る日も目を覚ますと巣に走っていき、黄金の卵を見つけた。
彼は大金持ちになった。まるで夢のようだった。
しかしそのうち欲が出て、せっかちになっていた。
一日一個しか手に入らないのがじれったく、ガチョウを殺して腹の中にある卵を全部一度に手に入れようとした。
ところが腹をさいてみると空っぽだった。黄金の卵は一つもなかった。
しかも黄金の卵を生むガチョウを殺してしまったのだから、もう二度と卵は手に入ることはなかった。
この寓話は、一つの自然の法則、すなわち原則を教えている。
それは効果性とは何かということである。
ほとんどの人は黄金の卵のことだけを考え、より多くのことを生み出すことができるほど、自分を「効果的」、有能だと思ってします。
この寓話からもわかるように、真の効果性は二つの要素で成り立っている。
一つは、成果(黄金の卵)、二つ目は、その成果を生み出すための資産あるいは能力(ガチョウ)である。
黄金の卵だけに目を向け、ガチョウを無視するような生活を送っていたら、黄金の卵を産む資産はたちまちなくなってしまう。
逆にガチョウの世話ばかりして黄金の卵のことなど眼中になければ、自分もガチョウも食い詰めることになる。
この二つのバランスがとれて初めて効果的なのである。
このバランスを私はP/PCバランスと名づけている。
Pは成果(Production)、すなわち望む結果を意味し、PCは成果を生み出す能力(Production Capability)を意味する。
この続きは、次回に。