完訳 7つの習慣-人格の回復-19
率先力を発揮する
率先力を発揮するというのは、押しつけがましい態度をとるとか、自己中心的になるとか、強引に進めたりすることではない。
進んで行動を起こす責任を自覚することである。
私は彼らに必ず、率先力を発揮しなさいとアドバイスする。
関心のある職業の適性試験を受け、その業界の動向を調べ、さらには入りたい会社の問題点を探って解決策を考え、その問題点を解決する能力が自分にあることを効果的なプレゼンテーションで売り込む。
これはソリューション・セリングといい、ビジネスで成功するための重要なパラダイムである。
こうアドバイスすると、ほとんどの人は賛同する。
このようなアプローチをすれば採用や昇進の機会を手にできると、彼らは確信する。
ところが、それを実行に移す率先力を発揮できない人が多いのである。
多くの人は自分から動かずに誰かが手を差し伸べてくれるのを待っている。
しかし良い仕事に就けるのは、自分から主体的に動く人だ。
その人自身が問題の解決策となる。
正しい原則に従って、望む仕事を得るために必要なものは端から実行する人だ。
「RとIを使いなさい」(Rはresourcefulness=知恵、Iはinitiative=率先力)
人に責任を持たせるのは、その人を突き放すことにはならない。
逆にその人の主体性を認めることである。主体性は人間の一部である。
多くの人は社会通念で歪んだ鏡に写る自分を見ている。
しかし私たちがその人の主体性を尊重すれば、少なくとも一つの本当の姿、歪んでいない姿をその人自身に見せてあげることができるのである。
相手の成熟度に関わらず、人間の基本的な性質である主体性だけは認めることができる。
その人が自分で機会をつかみ、自信を持って問題を解決できる環境を整えることはできるのである。
自分から動くか、動かされるのか
率先力を発揮する人としない人の違いは、天と地ほどの開きがある。
効果性において25%とか50%どころの違いではない。
率先力を発揮でき、そのうえ賢く感受性豊かで、周りを気遣える人なら、そうでない人との効果性の差はそれこそ天文学的な数字になる。
人生の中で効果性の原則であるP/PCバランスを生み出すには率先力が必要である。
「7つの習慣」を身につけるにも率先力が要る。
どの習慣でも行動を起こすのはあなたの責任である。
周りが動くの待っていたら、あなたは周りから動かされるだけの人間になってしまう。
自ら責任を引き受けて行動を起こすのか、それとも周りから動かされるのか、どちらかの道を選ぶかによって、成長や成功の機会も大きくかわるのである。
どんな組織も主体的な個人の創造力と知恵を結集し、主体的な組織文化を築ける。
組織だからといって、環境の変化に翻弄される必要はない。
組織としての率先力を発揮すれば、組織を構成する全員が価値観と目的を共有できるのだ。
言葉に耳を傾ける
私たちの態度と行動は、自分が持っているパラダイムから生み出される。
自覚を持って自分のパラダイムを見つめれば、自分の行動を導いている地図がどのようなものかが見えてくる。
反応的な人の言葉は、決定論のパラダイムから生まれる。
彼らの言葉の裏にあるのは、責任の転嫁である。
自分には責任がない、自分の反応を選ぶことはできないと言っているのである。
決定論のパラダイムに縛られている人は、自分はこういう人間だという思い込みを強くし、その思い込みを裏づける証拠を自分でつくり上げてしまう。
こうして被害者意識が増していき、感情をコントロールできず、自分の人生や運命を自分で切り開くことができなくなる。
自分の不幸を他者や状況のせいにする。
星のせいだとまで言い出しかねない。
反応的な人は、愛を感情としかとらえない。彼らは感情に流されるからだ。
主体的な人にとって、愛は動詞である。愛は具体的な行動である。
犠牲を払うことである。自分自身を捧げることである。
愛を学びたいなら、他者のために、たとえ反抗的な相手でも、何の見返りも期待できない相手であっても、犠牲を払う人たちを見てみればいい。
あなたが親であるならば、子どものためならどんな犠牲も辞さないはずだ。
愛とは、愛するという行為によって実現される価値である。
主体的な人は、気分を価値観に従わせる。
愛、その気持ちは取り戻せるのである。
この続きは、次回に。